禁漁期(きんりょうき)(読み)きんりょうき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「禁漁期(きんりょうき)」の意味・わかりやすい解説

禁漁期(きんりょうき)
きんりょうき

有用な水産生物資源を保護するため、漁業が禁止される期間をいい、漁業規制の一方法。「きんぎょき」ともいう。魚貝類は毎年ほぼ一定の時期に、一定の場所で産卵し、稚仔魚(ちしぎょ)期もその水域生育することが多い。海藻類の生育もほぼ一定している。したがって、その水域で漁業を行うことが資源に壊滅的な影響を与えると考えられる場合、一定の時期に水域を区切る、いわゆる禁漁区を設けて漁業を禁止する措置を講ずる。日本の沿岸は、北方から南方まで長いために緯度の差があり、同一種でも繁殖期や生育期が異なる。そのため、都道府県ごとの漁業調整規則によって禁止期間や採捕禁止生物を設定している。現在、禁漁期が設定されている生物資源は、魚類ではサケ・マス類、アユなど約30種。貝類ではアワビトコブシ、サザエ、ホタテガイなど約30種。海藻ではテングサワカメコンブなど約10種。そのほか、イセエビ、タコ、ウニなど約10種である。

 禁漁期が終わった直後の、いわゆる解禁日は「口あけ」「期あけ」などとよばれ、漁獲量が多い。このように、禁漁期の設定は漁獲量とともに経済的効果を生むことが多い。なお、国際条約国際協定などで漁獲量が定められている生物資源については、割当て漁獲量が達成された時点で漁業は禁止され、以後は禁漁期となる。

[吉原喜好]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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