精選版 日本国語大辞典 「蟹工船」の意味・読み・例文・類語
かに‐こうせん【蟹工船】
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北洋で行われていたカニ漁業の母船。漁獲したカニを船内で缶詰に加工していたのでカニ工船とよばれた。カニ漁業は5000~6000トンの中古の貨物船を改造した母船1隻,90~100トンの独航船2~3隻および母船にのせた漁艇(川崎船)6~9隻により1船団を構成し操業する。漁場に着くと独航船はカニ刺網を海底に設置する。8~10日ほどおいて,母船からおろされた川崎船がこの刺網をネットホーラーで巻き上げ,刺網にかかったカニをはずして母船にとどける。母船ではカニを脱甲し,海水で洗い煮沸する。さらに脚を截割(せつかつ)分類し,中甲板の缶詰工場に送り,缶詰の製造を行う。漁場はオホーツク海,ブリストル湾(アラスカ)などである。アメリカが1977年に200カイリ漁業水域を設定して漁業保存管理法が成立したため,これに基づいて制定された外国漁船規則によって,タラバガニ漁業はその年以降禁漁になり,母船式カニ漁業も実質的に消滅してしまった。
執筆者:竹内 正一
小林多喜二の中編小説。1929年(昭和4)5~6月の《戦旗》に発表。同年9月戦旗社刊。蟹工船の実態を暴き,労働者たちの階級意識の目覚めを描いた作品。昭和の初め,日本帝国海軍の保護を受けながら,オホーツク海に進出していた蟹工船は,実は資本家が法外な暴利をむさぼるために低賃金で労働者たちをかり集め,過酷な強制労働による搾取を続ける奴隷工場であった。悲惨な極限状況の中で,追いつめられた労働者たちが階級意識に目覚め,団結して闘争に立ちあがっていく過程を集団群像として描いている。社会的な主題を明確な構成でとらえ,きびしい自然と労働の現場とをリアルに描き得ている点で,プロレタリア文学の最高の達成を示すものとして海外にも広く紹介された。1953年,山村聡の監督・主演で映画化された。
執筆者:木村 幸雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
小林多喜二(たきじ)の中編小説。1929年(昭和4)「戦旗」5・6月号に分載。同年戦旗社より刊行。オホーツク海へ出漁する蟹工船の過酷な労働のなかで,労働者が集団として自覚し団結して立ちあがるさまを,背後の国際関係・財閥・帝国軍隊との緊密なつながりを浮かびあがらせつつ描いた。発表当初からの度重なる発禁にもかかわらず広く読まれ,プロレタリア文学をこえて一般の文壇からも高い評価をうけた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...
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