日本大百科全書(ニッポニカ) 「漁法」の意味・わかりやすい解説
漁法
ぎょほう
水生生物をとる方法。つまり漁獲する方法のことで、魚貝類の習性に対応した漁具が用いられる。漁具はその機能から受動的漁法と能動的漁法に大別することができる。受動的漁法は、漁具を一定の場所に固定して対象生物が漁獲できる状態になるまで待って漁獲する方法で、定置網、敷網、刺網(さしあみ)、釣り、筌(うけ)などがある。能動的漁法は、漁具を積極的に運用して漁獲する方法で、抄(すくい)網、掩(かぶせ)網、巻(旋(まき))網、引網、引縄(ひきなわ)、刺突(しとつ)、鉤引(こういん)、挟把(きょうは)などがある。これらの漁法は単独で行われる場合もあるが、二つないし三つの漁法を組み合わせて行う場合もある。
漁場の探索には、直接探索法と間接探索法がある。直接探索法は、海面の浮遊物や海鳥の行動、あるいは魚群探知機を使用する。間接探索法は、他船の情報や海洋観測の結果、あるいは過去の経験から推察する。そのほか、魚群を集める集魚灯や撒き餌(まきえ)、音波を利用する誘集法や、漁獲対象の生物の通路を遮断し一定の方向へ誘導させる遮断誘導法、魚群を威嚇して集める駆集法などがある。漁労機械、音響機器や漁具材料の発達により、科学的かつ合理的に、しかも省力化した漁法が行われている。
[吉原喜好]