承仕(読み)ジョウジ

デジタル大辞泉 「承仕」の意味・読み・例文・類語

じょう‐じ【承仕】

《「しょうじ」とも》
仙洞せんとう摂家寺院などの雑役を務めた者。僧形そうぎょう妻帯は随意であった。承仕法師
禅寺で、鐘をつく役目の僧。
室町幕府職名将軍宿所殿中装飾などを管理した僧形の者。

しょう‐じ【承仕】

じょうじ(承仕)

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精選版 日本国語大辞典 「承仕」の意味・読み・例文・類語

じょう‐じ【承仕】

〘名〙 (「しょうじ」とも。「じょう」は「承」の呉音。「しょう」は漢音)
① 仏語。僧の役名。寺社の内殿の掃除や荘厳仏具の管理、灯火香華の用意など、雑用にあたる僧。宮寺承仕法師ともいう。しばしば上皇御所・摂関家などに召使われその雑用をつとめた。承仕法師。
御堂関白記‐長和二年(1013)八月二一日「又壇承仕手作各二端」
※古今著聞集(1254)二「ふもとに承仕ありけるが、件山の嶺より、やんごとなき老僧出来て」
驢嘶余(室町末)「御承仕(おセウジ)
② 仏語。禅宗の寺で、鐘をつく役目の僧。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 室町幕府に仕え、殿中の装飾や掃除など雑役に従事した僧形の者。
※長享元年九月一二日常徳院殿様江州御動座当時在陣衆着到(1493)(古事類苑・官位四六)「御承侍 釣源坊・香澗坊・常松坊」

ぞう‐じ【承仕】

〘名〙 (「そうじ」とも) =じょうじ(承仕)
世継物語(13C中か)「御まへなるあざり、花籠(こ)ながらそうし召してとらするをりに」

しょう‐じ【承仕】

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改訂新版 世界大百科事典 「承仕」の意味・わかりやすい解説

承仕 (じょうじ)

僧侶身分・役割を示す名称。〈しょうじ〉ともいう。寺院の日常的な運営上の雑務にあたるほか,法会の場においては,行事の進行にかかわる裏方を務める。かつては寺院の封建的身分制度下では,教義の学問的探求に専念する学侶(がくりよ)が支配的権限を持ち,諸仏への勤行にあたる堂方(どうほう)がその下,法具や香花の補充等を行う承仕は,終生その支配下にあったとされた。現在は,承仕の身分は固定的なものとは意識されず,若年の僧の修行の場として通過する役割と考えられる。日常的には高僧に侍することも多い。法会に際しては,進行役の責任者である会奉行(えぶぎよう)や威儀師(いぎし)の指示を受けて,必要な雑務にあたる。法具の確認や配置などの準備,出仕者への連絡,法具の配布と撤収など,指示のとおりに承仕が行う。規模の大きい行事の場合,複数の承仕を立てることもある。
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