威儀師(読み)いぎし

精選版 日本国語大辞典 「威儀師」の意味・読み・例文・類語

いぎ‐し ヰギ‥【威儀師】

〘名〙 授戒の式のとき、受戒者に立ち居振舞いの威儀を指示する、三師七証一つ教授師のこと。転じて法会(ほうえ)のとき、衆僧の先に立って、衆僧の威儀、作法を指図する僧をいう。威儀僧。威儀法師。
延喜式(927)二一「凡威儀師六人、従儀師八人」

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デジタル大辞泉 「威儀師」の意味・読み・例文・類語

いぎ‐し〔ヰギ‐〕【威儀師】

僧職の一。法会や授戒が厳粛に行われるように指図する僧。威儀僧。威儀法師。

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改訂新版 世界大百科事典 「威儀師」の意味・わかりやすい解説

威儀師 (いぎし)

仏教儀式における僧侶の役名。法会の進行役で,入退場や座次の案内,各役の所作喚起補佐など後見(こうけん)に相当する役割を果たす。714年(和銅7)の興福寺供養で衆僧の教導役に威儀師を置いたのをはじめとする。中古には公的に制度化されていた。必要に応じて従儀師を立てて役割分掌をすることもある。宗派によっては同様の進行役を会行事,会役者故実者,引頭(いんとう)などと称し,法会の格式によって役名を使い分けている。
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世界大百科事典(旧版)内の威儀師の言及

【僧綱】より

…僧綱の政務を行う場所である〈僧綱所〉は722年(養老6)薬師寺と定められたが,平安遷都の後は西寺(さいじ)へ移った。奈良時代の末ごろに,佐官に代わって威儀師,従儀師が置かれ,律師以上の僧綱員は6~7人であった。やがて大僧正の常任,あるいは各階に権官(ごんかん)が置かれ,しだいに栄誉的な地位となり,平安後期には,実際の職務は〈法務〉と称する僧正クラスの2人,〈惣在庁〉〈公文(くもん)〉と称する威儀師,従儀師らがおもに担当した。…

※「威儀師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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