平野(読み)へいや(英語表記)plain

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平野」の意味・わかりやすい解説

平野
へいや
plain

地表凹凸の少い比較的平坦な地形をいう。形成原因により堆積平野浸食平野に大別される。堆積平野は主として河川堆積作用によって生じたもので,扇状地三角州自然堤防帯,後背湿地などを含む。また海成堆積面が離水したものは海岸平野と呼ぶ。堆積平野は日本など新しい造山地域に多く発達する。浸食平野は流水氷河,風などの浸食作用によって起伏ある山地が削られて平坦化したところで,地盤の安定した古大陸塊や古い造山帯に広く分布する。

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精選版 日本国語大辞典 「平野」の意味・読み・例文・類語

ひら‐の【平野】

[1] 平坦な野原。へいや。
[2]
[一] 大阪市中央区北西部の町名薬種問屋両替商が多かった。
[二] 京都市北区南西部の地区名。古くは山城国葛野(かどの)郡上林郷。衣笠山東麓に位置し、平野神社がある。
[三] 大阪市の行政区の一つ。市の南東端にあり、中央部を平野川が流れる。中世から近世にかけて大商人が多く、堺とならぶ自治都市を形成。江戸時代は河内木綿の中心地。昭和四九年(一九七四東住吉区から分区成立。

へい‐や【平野】

〘名〙 山地に対し、低く平坦で、かつ広い地形。平原
※太平記(14C後)二九「所は何く共知らず渺々たる平野に」 〔梁簡文帝‐智法師墓誌銘〕

ひらの【平野】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「平野」の意味・読み・例文・類語

ひらの【平野】[地名]

京都市北区、衣笠山の東麓の地名。和歌では、ふつうその地にある平野神社をさす。[歌枕]
「ちはやぶる―の松の枝しげみ千代も八千代も色はかはらじ」〈拾遺・賀〉
大阪市南部の区名。中世はと並ぶ商業地、近世は河内木綿の集散地として発展。大念仏寺がある。

ひらの【平野】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「平野」姓の人物
平野国臣ひらのくにおみ
平野啓一郎ひらのけいいちろう
平野謙ひらのけん

へい‐や【平野】

平らに広くひらけた土地。成因により海岸平野構造平野浸食平野堆積平野沖積平野などに分けられる。
[類語]平地平原盆地野原広野ひろの広野こうや広原高原原っぱ松原草原そうげん草原くさはら草地野中野良野末野面田野

ひら‐の【平野】

平坦な野原。へいや。

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百科事典マイペディア 「平野」の意味・わかりやすい解説

平野【へいや】

現在の河床とほぼ同高度にある低平な地形。河川,海,氷河,風などの浸食または堆積作用で形成され,海底や湖底の堆積層が隆起して平野化したものもある。たとえば構造平野堆積平野沖積平野海岸平野など。

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農業関連用語 「平野」の解説

平野

起伏が極めて小さく、ほとんど平らで、広く低い地域にある農業集落をいう。
なお、平地から続いた広く平らな地域であって、標高が概ね200m未満の範囲の地域にある農業集落を含む。

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旺文社日本史事典 三訂版 「平野」の解説

平野
ひらの

大阪府南東部にある一区で,戦国時代以来の商業都市
堺とともに自治都市として栄えた。この地の末吉氏は朱印船貿易に活躍し,ルソン・東京 (トンキン) などと貿易を行い有名。

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事典 日本の地域遺産 「平野」の解説

平野

(青森県弘前市徒町川端町7)
趣のある建物」指定の地域遺産。
大正時代建築。1955(昭和30)年から割烹として営業

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事典・日本の観光資源 「平野」の解説

平野

(山形県長井市)
美しい日本のむら景観100選」指定の観光名所。

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世界大百科事典 第2版 「平野」の意味・わかりやすい解説

へいや【平野 plain】

もともと平野という語は,平地,平原,低地などの語とほぼ同じ意味をもち,常識的には,ある程度の広がりをもつ比較的平坦な土地を指す。しかし,丘陵,高原などと呼ばれる地形との厳密な区分はむずかしく,どの程度の土地の起伏(凹凸),傾斜,高度をもつものまでを平野と呼ぶかの基準はたてがたい。なお,周囲の大部分を比較的高い山地に囲まれている平野(高度は問わない)は盆地と呼ばれる。 平野は,その成因により,(1)土地が浸食されて平坦化された浸食平野(ペディメントpediment,準平原構造平野など),(2)土砂の堆積によってつくられた堆積平野(扇状地三角州などの沖積平野,湖岸平野,海岸平野,氷河周辺にみられるアウトウォッシュ・プレーンなど)とに二大別される。

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普及版 字通 「平野」の読み・字形・画数・意味

【平野】へいや

広野。唐・杜甫〔旅夜、懐を書す〕詩 星は野に隨つて闊(ひろ)く は大に涌(わ)いて

字通「平」の項目を見る

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日本歴史地名大系 「平野」の解説

平野
ひらの

紙屋かみや(荒見川・天神川)を境として北野きたのの西北方に広がり、衣笠きぬがさ山の東麓に至る一帯。ほぼ中央に平野神社がある。

貞観一四年(八七二)一二月一五日の太政官符(類聚三代格)で平野神社に社地(神社の東、紙屋川の西)として寄せられた一町が、

<資料は省略されています>

とあり、平野神社辺りが上林かむつはやし郷に属していたことが知られる。上林郷はこれ以前、「続日本後紀」承和二年(八三五)正月一九日条にも「山城国葛野郡上林郷地方一町賜伴宿禰等為氏神」とある。伴氏の氏神社は「延喜式」神名帳に「伴氏トモウチノ神社」とあり、伴氏は後に北野の森に祀られる菅原道真の母、伴氏(少納言伴善績よしすみの娘と伝える)の同族と思われるが、おそらくこの時代神社が創建されたのであろう。

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世界大百科事典内の平野の言及

【海底地形】より

… 深海小丘地域abyssal hills海底の小さな高まりがある地域。 深海平原abyssal plainplain―深海にあって,平たんか緩く傾斜するか,またはほぼ水平な地域。 瀬shoal沖合にある未固結物質からなる海上航行に危険な場所。…

※「平野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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