字(漢字)

普及版 字通 「字(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音]
[字訓] やしなう・あざな・もじ

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+子。宀は家。家に子の出生を報告する儀礼で、これによって養育・字養のことを定める。またそのとき字(あざな)(幼名)をつける。いわゆる小字である。〔説文〕十四下に「するなり」と字乳、すなわちはらみ、育てる意とするが、生子儀礼とみるべき字である。〔礼記、冠義〕に「已に冠して之れに字(あざな)す」、また〔公羊伝、僖九年〕「字して之れに(けい)す」とは、男女成年のときの礼で、男子はこのとき、名字対待の名をつける。「曾參(驂)、字は子輿(しよ)」、「孟軻、字は子輿」は、いずれも車馬による対待の字である。女子の字には、金文に多母・客母・良女のようにいうものがそれであろう。

[訓義]
1. やしなう、見の礼によって養育のことが定まる。
2. あざな、見の際に、あざなをつける。
3. と通じ、はらむ。
4. 慈と通じ、いつくしむ。
5. あざなをつけることから、文字の意となる。文は文身で、やはり、もと通過儀礼の一である。

[古辞書の訓]
名義抄〕字 ナ・ナヅク・アザナ・ヤシナフ・ウツクシム 〔字鏡集〕字 ナ・ウツクシム・アザナ・ナヅク・サネ・ヤシナフ・ウツクシブ・ウツクシム

[語系]
字dziと子・(滋)tziは声義が近く、〔説文〕には字を子の亦声とする。字を字乳の義に用いることも多いが、通用の義とみるべく、その本義は生子儀礼としての見の礼をいう。尾のように用い、字乳とはそのことをいう。おおむね滋益滋多の意がある語である。

[熟語]
字愛・字育・字印字音字画・字格・字学・字眼・字義・字脚・字拠字句字訓字形字源・字指・字習字数・字勢・字跡字体字典・字突・字乳・字馬・字・字輩・字尾・字墨・字民・字・字孕・字様・字養・字例
[下接語]
異字・永字・衍字・押字・仮字・譌字・楷字・解字・活字・冠字・漢字・雁字・奇字・虚字・金字・錦字・字・欠字・検字・古字・誤字・好字・号字・合字・刻字国字・細字・作字・視字・識字習字・集字・書字・署字・女字・助字・小字・称字・帖字・植字・真字・新字・正字・成字・制字・姓字・善字・草字・字・造字・俗字・大字題字・拆字・脱字・著字・定字・摘字・篆字・蠹字・難字・破字・配字・肥字・布字・壁字・別字・鳳字・没字・本字・梵字・名字・妙字・苗字・銘字・字・文字・隷字・連字・倭字

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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