北山抄(読み)ほくざんしょう

精選版 日本国語大辞典 「北山抄」の意味・読み・例文・類語

ほくざんしょう ホクザンセウ【北山抄】

有職書。藤原公任著。一〇巻一〇冊。長和寛仁一〇一二‐二一)のころ成立朝儀政務に関して、多く典拠をあげて記したもの。後世有職故実基準として尊重された。

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デジタル大辞泉 「北山抄」の意味・読み・例文・類語

ほくざんしょう〔ホクザンセウ〕【北山抄】

平安中期の有職書。10巻。藤原公任著。長和・寛仁年間(1012~1021)に成立。朝儀や政務の作法を記し、後世の有職故実の基準となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「北山抄」の意味・わかりやすい解説

北山抄 (ほくざんしょう)

恒例・臨時の朝儀,太政官の政務,近衛大中将の作法および国司に関することを記した故実書。10巻より成る。権大納言藤原公任(きんとう)の著述で,11世紀初頭の成立と考えられる。書名は,公任が晩年隠棲した京都・北山地名による。《北山納言記》《北山記》などともいい,また公任が四条大納言と称されたことより,《四条大納言記》とも呼ばれる。《西宮記》とともに,有職故実の最も重要な参考書として古くより重んじられた。また数多くの典籍を引用しており,原本が今に伝わらないものも多い。公任自身は,儀礼系統は小野宮流に属するが,本書には女婿藤原教通のために撰した部分,藤原道長の命により撰した部分など,九条流の公家の参考に作られた部分が少なくない。京都国立博物館に公任自筆の巻十の草稿本1巻が伝わり,尊経閣文庫に平安時代末期書写本,室町時代書写本が各1部伝わる。《丹鶴叢書》《新訂増補故実叢書》所収。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「北山抄」の意味・わかりやすい解説

北山抄
ほくざんしょう

藤原公任(きんとう)著。10巻。恒例・臨時の朝儀、中央・地方の政務、近衛(このえ)大将以下の武官の進退などについて、国史をはじめ多数の文書・記録を引用して解説した有職故実(ゆうそくこじつ)の書。引用書中には現存しないものも少なくない。近衛大将に関する巻が女婿藤原教通(のりみち)のために書かれたものであるごとく、もと個別に書かれ、のちに一書にまとめられた。公任は四条大納言(しじょうだいなごん)と称したので、古くは『四条記』『四条大納言抄』などともいわれ、現在の書名は、公任隠棲(いんせい)の地にちなむものである。公任は御堂関白道長(みどうかんぱくみちなが)と親しかったため、『西宮記』や『江家(ごうけ)次第』とともに後世長く重んじられた。公任自筆の草稿一巻が存するほか写本も多く、活版本には『故実叢書(そうしょ)』所収本がある。

[今江廣道]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北山抄」の意味・わかりやすい解説

北山抄
ほくざんしょう

平安時代中期の有職故実書。 10巻。藤原公任著。長和1 (1012) ~寛仁4 (20) 年頃の作。年中要抄,拾遺雑抄,践祚抄,備忘,都省雑事,大将儀,羽林要抄,吏途指南の8編から成る。本来は各編ともそれぞれ藤原教通や藤原道長あるいは自分の子息定頼の参考のためにつくられたものらしく,それをのちに集めて一部の書物としたもの。現在吏途指南1巻の自筆本のほか,写本が伝わっている。書名は公任の山荘が京の北山 (きたやま) 長谷にあったため,つけられたもの。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「北山抄」の解説

北山抄
ほくざんしょう

平安中期の儀式書。藤原公任(きんとう)撰。10巻。巻8・9は婿の藤原教通のために編纂したといわれる。巻1・2は年中要抄上下,巻3・4は拾遺雑抄,巻5は践祚抄,巻6は備忘,巻7は都省雑事,巻8は大将儀,巻9は羽林要抄,巻10は吏途指南と題されている。裏書には後人の追記したものも多いが,貴重な内容を含む。巻10は公任自筆の草稿本が現存する。「新訂増補故実叢書」「神道大系」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「北山抄」の解説

北山抄
ほくざんしょう

平安後期,藤原公任 (きんとう) の有職故実 (ゆうそくこじつ) 書
11世紀初めの成立。10巻。年中行事,太政官などの官吏の事務などを記す。『西宮記 (さいぐうき) 』とともに,朝廷の行事・儀式などの権威書である。

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世界大百科事典(旧版)内の北山抄の言及

【古文書学】より

…平安時代になって朝廷の儀式典礼が盛大に行われるようになると,それに関する正確な知識が要求され,有職故実の学が発達し,有職書が編纂される。源高明《西宮記》,藤原公任《北山抄》,大江匡房《江家次第》はその代表的なもので,このなかには文書の作成発布に関する儀礼や慣習なども述べられている。これらは,この時代新たに成立した令外様文書に関する解説書といえる。…

※「北山抄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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