住持
じゅうじ
寺を統率する代表者。字義は、法を現実に住(とど)まらしめ保持し続ける意。中国唐初の仏教に革新的主張がおこり、新たに禅宗が形成されていくなかで、従来の律寺に別して禅院が独立し、さらに独自の規範(百丈清規(ひゃくじょうしんぎ))を創設するに至って、禅院で仏の精神を継ぎ法燈(ほうとう)を伝え持ち、法演を開き衆僧を教化するなど、大小の事いっさいを統率する最高責任者を住持とよんだことに始まる。そののちしだいに普及して仏寺一般の主人の呼称となり、住職ともよばれる。
[小坂機融]
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じゅう‐じ ヂュウヂ【住持】
〘名〙
① 世にとどまって教えをたもつこと。仏法をたもちまもること。
※続日本紀‐天平勝宝元年(749)二月丁酉「
弟子相継皆守
二遺法
一。至
レ今住持焉」 〔阿彌陀経疏〕
※三代格‐二・天平九年(737)三月一〇日「請下抽二出元興寺摂大乗論門徒一一依二常例一住中持興福寺上事」
※今昔(1120頃か)二九「其の寺の住持の法師に会て語ふ様」
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デジタル大辞泉
「住持」の意味・読み・例文・類語
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住持
じゅうじ
一寺を管理する主僧。もともと中国禅宗の用語でその後,寺を管理するものの一般の職名となる。この点で住職に同じ。
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じゅうじ【住持】
仏教用語の一つ。世間にあって,仏法を保ち広める意,またはその人。古くは,仏滅後の世界に,仏法僧の三宝を住持するものとして,仏像・経巻・出家比丘の三つを指していったが,後代は,一寺の主人として,人々を教化する僧を呼ぶ名となり,日本ではもっぱらこの意味に用いる。もともとインド教団では,一所不住をたてまえとするから,住持の名称はありえない。中国で唐代に寺院制度が確立すると,百丈懐海が清規(しんぎ)を制して,教団を管理し弟子を指導する有徳の長老を,住持と名づけたことより始まる。
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普及版 字通
「住持」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の住持の言及
【寺院】より
… 宋代になって禅宗が興隆すると,寺院制度にも変化がおこった。寺院を代表する僧を住持といい,それには師から弟子へと伝える甲乙徒弟院と,ひろく諸方から名徳を招く十方刹との区別があり,とくに大刹の住持は勅命によって任ぜられた。別に寺院は宗派によって禅,教,律に分類され,南宋中期には五山十刹制が定められた。…
【住職】より
…一般的には,一寺を管領する最高位の僧職をさす。古くからある住持職(住持)の略称。住職になることを出世(しゆつせ)といい,住職として実際にその寺に入ることを入院(じゆいん),あるいは晋住(しんじゆう),また晋山(しんざん)という。…
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