入道(読み)にゅうどう

精選版 日本国語大辞典 「入道」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐どう ニフダウ【入道】

〘名〙
① (━する) 仏語。
(イ) 煩悩のけがれのない無漏の悟りにはいること。
(ロ) 転じて仏門にはいり、髪をそって、僧や尼になること。また、その人。
※正法眼蔵(1231‐53)四禅比丘「論力見既慚愧低頭、帰依入道」
(ハ) 特に日本では、皇族や三位以上の貴族などが仏門にはいること。また、その人。後に敬称としても用いられたが、また落飾しているが在俗生活のままで、仏道の修行をしている者をもさした。
※続日本紀‐養老五年(721)五月壬子「詔曰。太上天皇。聖体不予〈略〉欲平復。冝取浄行男女一百人。入道修
※宇治拾遺(1221頃)一〇「摂津国にいみじく老たる入道の、行ひうちしてありけるが」
② 坊主頭の人。ふつう、ののしったり、あざけったりしていうのに用いる。
③ 坊主頭の、ばけもの。「大入道」
④ まわり道。遠まわりの道。
※中務内侍(1292頃か)正応三年二月一〇日「なし原へ帰りぬ。つゐでにちと入たうなどして、京へ参りつきぬ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「入道」の意味・わかりやすい解説

入道
にゅうどう

世俗を捨てて仏道に入ることをいう。出家と同意。このような人を入道人、入道者というが、省略して道人(どうにん)とか入道ともいわれる。また、日本では、寺に入り僧となった人を出家というのに対し、在家のまま剃髪(ていはつ)染衣し、仏道を求める人を入道ということが多く、敬称として用いられている。転じて、坊主(ぼうず)頭の人、坊主頭の妖怪(ようかい)をもいう。

[由木義文]

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デジタル大辞泉 「入道」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐どう〔ニフダウ〕【入道】

[名](スル)
仏語。
㋐煩悩を断って悟りの境に入ること。
㋑出家・剃髪ていはつして仏道に入り修行すること。また、その人。
「寂照は―してから、ただもう道心を持し」〈露伴・連環記〉
皇族や公卿で、在俗のまま剃髪ていはつし、僧衣をつけ仏道に入った人。「清盛入道
坊主頭の人。また、坊主頭の化け物。「大入道」「たこ入道
[類語]僧侶坊主坊さん御坊お寺様僧家沙門法師出家比丘僧徒桑門和尚住職住持方丈雲水旅僧

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百科事典マイペディア 「入道」の意味・わかりやすい解説

入道【にゅうどう】

本来は悟りの境界に入る意で,転じて出家して仏道に入った人をいう。しかし日本では,一般的に在俗のままで僧形となり,仏道を修行する篤信,強信(ごうしん)の人をいう。また沙弥と同義に使用される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入道」の意味・わかりやすい解説

入道
にゅうどう

仏教真理を悟ること。また仏教を信じて出家した人。ときに,僧形でありながらも世俗的生活を行なっている人をもいう。

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世界大百科事典 第2版 「入道」の意味・わかりやすい解説

にゅうどう【入道】

仏道に入ること,出家剃髪することをいい,また,剃髪して仏道に入った人のことをいう。本来は,入道は出家と同じ意味であり,また,出家の後,禅定(ぜんじよう)に入ったり阿羅漢境地に達したりした場合をさすことばでもあったが,日本ではとくに,皇族や三位以上の貴族など高貴な人が仏門に入ること,またそうした人に対する敬称として入道ということばが用いられた。《源氏物語》などには入道の帝,入道の后の宮,入道の大臣といった表現がしばしばみられる。

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普及版 字通 「入道」の読み・字形・画数・意味

【入道】にゆうどう

道に入る。

字通「入」の項目を見る

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