精選版 日本国語大辞典 「上方」の意味・読み・例文・類語
かみ‐がた【上方】
〘名〙
※上杉家文書‐(年未詳)(室町)一二月一六日・長尾顕景書状「命惜候者、可レ致二上方行脚一外無レ他候」
③ 京都の方角。
※歌舞妓年代記(1811‐15)一「お江戸を立(たっ)て二十里上方(カミガタ)、相州小田原、一しき町をおすぎなされて」
じょう‐ほう ジャウハウ【上方】
〘名〙
※今昔(1120頃か)三「上方の恒河沙の世界を過て仏の世界有り」 〔欧陽脩‐送陳経序〕
② 山上の寺院。また、寺院。
※観智院本唐大和上東征伝(779)「上方伝二仏教一。名僧号二鑑真一」 〔解琬‐奉和九月九日登慈恩寺浮図応制詩〕
③ 寺院の住持。寺僧。方丈。
※菅家文草(900頃)五・感雪朝「中使馬疑騎レ鶴至、上方人似踏レ雲昇」
④ 身分や地位などの高い人。上方様。
※私用抄(1471)「上方尊宿の句ども無骨にしななく返し侍るべからず」
かん‐つ‐かた【上方】
〘名〙 (「かむつかた」とも表記。「かんづかた」とも) =かみ(上)つ方(かた)
※書紀(720)大化元年八月(北野本訓)「介より以上(カムツカタ)、法を奉(う)けたらば、必須くは褒め賞せよ」
※三体詩素隠抄(1622)一「潮は潯陽までさいて来て、其よりかんづかたへはささぬほどに」
うえ‐つ‐かた うへ‥【上方】
〘名〙 (「うえつがた」とも) 身分や官位の高い人々。上流階級。貴人。うえうえ。
※御伽草子・扇流し(室町時代短篇集所収)(江戸初)下「うへつかたもしたしたまでもおどろきなげくばかりなり」
うえ‐ざま うへ‥【上方】
〘名〙 上の方。高い方。上部。かみざま。⇔しもざま。
※枕(10C終)一二〇「衣うへざまにひきかへしなどしたるもあり」
かみ‐つ‐かた【上方】
〘名〙 ⇒かみ(上)つ方
かむ‐つ‐かた【上方】
〘名〙 ⇒かんつかた(上方)
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