着物・著物(読み)きもの

精選版 日本国語大辞典 「着物・著物」の意味・読み・例文・類語

き‐もの【着物・著物】

〘名〙
① 身に着る物の総称。ころも。衣服
書紀(720)景行四〇年一〇月(寛文版訓)「悉に慄(かしこ)まりて、裳(キモノ)を褰(かか)げ浪を披(わ)けて」
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「草木の根を食ひものにして、いは木の皮をきものにし」
人情本・春色恵の花(1836)二「この寒いのに着類(キモノ)もたった一つ着(めし)てからに」
② 日本古来の衣服。和服洋服に対していう。〔和英語林集成初版)(1867)〕
※付焼刃(1905)〈幸田露伴〉一「銘仙の衣服(キモノ)に同じ羽織
[語誌]→「きるもの(着物)」の語誌

きる‐もの【着物・著物】

〘名〙
① 身に着用するもの。きもの。きりもの。
史記抄(1477)五「つよく寒くかなしい者はてんつるはぎなるきるものでまり大切なほどに、重宝と思ぞ」
② 特に、小袖(こそで)をいう女房詞。〔女諸礼綾錦(1755)〕
[語誌](1)同義の「きもの」はすでに中古の訓点資料などに見られるが、一般的な語ではなかったらしい。中世後期に一語化した「きるもの」が主流となり近世前期に多用されたが、「きるもの」では日本語の名詞として安定した語形ではないため、「きる」を四段動詞と考えて、その連用形で複合語を作った「きりもの」という形も使われた。→きりもの
(2)近世後期には上方東北地方では「きるもの」「きりもの(きりもん)」が、江戸では多く「きもの」が使われて、後者が現代の共通語となった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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