気触(読み)かぶれ

精選版 日本国語大辞典 「気触」の意味・読み・例文・類語

か‐ぶれ【気触】

〘名〙 (動詞「かぶれる(気触)」の連用形の名詞化)
外界から直接皮膚に有害な刺激を受け、急性炎症を生ずるもの。接触性皮膚炎。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※御湯殿上日記‐文明一八年(1486)四月五日「御うしろに御かふれいてきて、五郎左衛門にみせらるる」
② (接尾語的に用いて) ある事物影響、刺激を受けてすっかりその風(ふう)に染まること。感化や影響を受けて、一時熱心になること。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵貴婦人「良人(うち)が西洋かぶれで女に同情があるから」
③ 身に及ぶ難儀。「かぶれが来る」の形で、難儀が身に及ぶ意にいう。
歌舞伎・伊勢平氏梅英幣(1820)大切「この香箱も七十両、今出た金も七十両。どうか始終は、かぶれの来さうな、不気味な金だ」

か‐ぶ・れる【気触】

〘自ラ下一〙 かぶ・る 〘自ラ下二〙
① 漆、膏薬などの成分に冒されて、一種皮膚病になる。皮膚がまける。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「漆(うるし)に患(カフレ)て、遂に一傍蟹を殺し、汁を取りて瘡に塗り」
② あるものの影響や刺激を受けて、すっかりその風(ふう)に染まる。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「惣体(さうてい)の事が一旦はかぶれるけれど、善悪三歳児(みつご)にもわかるものだから」

き‐ふれ【気触】

〘名〙 気が狂ったようになっている人。
人情本・婦女今川(1826‐28)一〇「ついと気(き)ふれのやうになりましたが、いよいよ乱心でござりまして」

か‐ぶ・る【気触】

〘自ラ下二〙 ⇒かぶれる(気触)

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