精選版 日本国語大辞典「格子」の解説
こう‐し カウ‥【格子】
〘名〙

※竹取(9C末‐10C初)「かうし共も、人はなくしてあきぬ」
※源氏(1001‐14頃)末摘花「かうし引き上げ給へり」
② 細い木や竹などを、縦横に間をすかして組んで、窓や戸口の外などに打ちつけたもの。
※咄本・山岸文庫本昨日は今日の物語(1614‐24頃)「ある数寄者、かうしの内をのぞき、この壺を見て」
※浮世草子・好色一代男(1682)一「おもての隔子(カウシ)をあらくたたきて」
④ 染織品の文様の一種。碁盤の目のように縦横に筋を出したもの。
※続古事談(1219)五「ふたあゐのかうしぬののかりばかま」

※仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)下「かうしの外には、人の見るをも知らでのさばれば」
⑥ 江戸時代の遊女、また、その位をいう。
※評判記・吉原すずめ(1667)下「太夫とかうしとのあいだに、よびだしといふくらゐの女郎あり」
(ロ) 遊女屋の格子の所に出て、張見世をする遊女の総称。見世女郎。格子女郎。
※雑俳・柳多留‐四〇(1807)「マアあがんなんしと格子のたまはく」
⑦ 紋所の名。蔀(しとみ)の格子をかたどったもの。
⑧ 物理学で、結晶格子、回折格子をいう。
⑨ 数学で、基本になるベクトルを単位として原点から規則正しく配列された点、およびそれらの点を結ぶ線とそれらの線で囲まれた面の総体。一つのベクトルで規定される一次元格子、二つのベクトルで規定される平面格子(二次元格子)、三つのベクトルで規定される空間格子(三次元格子)がある。
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