日本大百科全書(ニッポニカ) 「放電管」の意味・わかりやすい解説
放電管
ほうでんかん
低圧ガスとか蒸気内の放電現象を利用した電子管。熱陰極を用いたものはアーク放電を、冷陰極を用いたものはグロー放電を利用したものが多い。冷陰極の真空放電管はクルックス管ともよばれ、初期の陰極線管、X線管として重要な役割を果たした。真空度チェック用のガイスラー管も冷陰極真空放電管である。放電管は、水銀蒸気を用いた水銀整流器、サイラトロン、定電圧を得るためのコロナ放電管、低圧ガスを封入した定電圧放電管、デカトロン(計数放電管)、リレー管など種々利用されたが、寿命安定性の点で難点があり、半導体素子に置き換えられている。しかし、放電に伴う雑音を利用したレーダーの切替え管、雑音発生用の放電管、発光現象を利用した閃光(せんこう)放電管などのほか、ストロボ放電管、ネオンランプ、蛍光灯の点灯管としてのグロースターターなどにも広く利用されている。プラズマディスプレーはグロー放電を利用した微細放電管を配列したものである。
[岩田倫典]