普及版 字通 「旅(漢字)」の読み・字形・画数・意味
旅
常用漢字 10画
(旧字)
10画
[字訓] たび・つらなる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
(えん)+从(じゆう)。は旗。从は從(従)の初文で、前後相従う人。氏族旗を奉じて、一団の人が進む意で、その軍団をいい、また遠行することをいう。〔説文〕七上に「軍の五百人をと爲す。に從ひ从に從ふ。从はにするなり」と軍旅の意とする。(ゆう)・(遊)は一人が旗を奉じて出行する形。多数のときにはという。古くは邑里の外に出るときには、氏族霊の象徴として、氏族旗を奉じて行動した。それで軍旅のことに限らず、別宮に赴いて祭ることを旅祭といい、その祭器を旅器といい、旅彝(りよい)という。師旅のときには多数で行動するので、多い意となり、連なる意となる。〔詩、小雅、賓之初〕「(かうかく)を維(こ)れ(つら)ぬ」のように陳設の意にも用いる。〔説文〕にまた古文一字を録し、「古以て魯衞の魯と爲す」とするが、旅を魯衛の魯に用いることはない。〔段注〕に、〔左伝〕の「仲子、生まれしとき、の其の手に在るり。曰く、魯の夫人と爲らんと」の魯は、掌文とすればこの古文の形であろうというが、その字はの訛変の字である。
[訓義]
1. 軍団、氏族旗を奉ずる氏族軍。
2. たび、たびする。
3. つらなる、ならぶ。
4. おおい、衆人。
5. 別宮の祭、旅祭、郊外の山川のまつり。
6. 膂(りよ)と通じ、せぼね。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ノブ・タビ・ツラヌ・ツラナル・イクサ・タムロク 〔字鏡集〕 タビ・ノブ・トモ・タムロ・ツギ・ヤドル・イクサ・ツラヌ・タワム・トトノホレリ・ヨコタフ・ツラナル・モロモロ・アツマル
[声系]
金文に(りよ)の字があり、「彝(りよい)」のように用いる。に車をそえたもので、の繁文とみてよい。
[語系]
liaは列liat、離liai、麗lyai、羅laiと声近く、みな並び列する意がある。廬lia、laや婁lo、縷lio系統の語も同系であろう。
[熟語]
旅衣▶・旅逸▶・旅飲▶・旅懐▶・旅宦▶・旅館▶・旅雁▶・旅況▶・旅寓▶・旅見▶・旅行▶・旅魂▶・旅恨▶・旅思▶・旅次▶・旅舎▶・旅酬▶・旅愁▶・旅宿▶・旅情▶・旅食▶・旅人▶・旅炊▶・旅装▶・旅中▶・旅枕▶・旅亭▶・旅程▶・旅店▶・旅途▶・旅泊▶・旅伴▶・旅夢▶・旅夜▶・旅力▶・旅路▶
[下接語]
亜旅・逸旅・羈旅・客旅・彊旅・軍旅・逆旅・行旅・師旅・商旅・振旅・晨旅・征旅・儔旅・賓旅・遊旅・盧旅
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報