社寺参詣(読み)しゃじさんけい

世界大百科事典(旧版)内の社寺参詣の言及

【観光】より

… 次に多くの日本人が,〈参詣〉を観光と考えるのは,歴史的背景があってのことである。すなわち,日本における旅行の歴史を振り返ってみると,楽しみを目的とする旅行の起源は,社寺参詣の歴史の中に求めることができる。参詣は本来敬虔な信仰心に基づくのであるが,江戸時代に一般大衆の間にまで楽しみを目的とする旅行を行うだけの経済力その他の条件が整うなかで,たてまえとしての参詣,ほんねとしての享楽的な旅行が広まった。…

【文化文政時代】より

…その背景には,18世紀後半から盛んになった旅行の大衆的流行を考慮しなくてはならない。伊勢参りなどの社寺参詣に端を発した庶民の旅行は,日常の生活空間の外にある世界への認識を深め,さらに未知なる地域への関心を高めた。この時期を前後して試みられた菅江真澄屋代弘賢らの民俗誌的な調査・著述,あるいは間宮林蔵らの地理的な探検や測量の実施も,そのような流れのなかで理解されよう。…

【土産】より

…南北朝のころには末の松山の松笠,塩釜のうつや貝,井手の蛙の日干し,長柄の橋の金くずなど,歌枕にちなんだ品もみえるがまだ自然の物が多く,室町末になって公家の伊勢参詣に編笠,裏無,扇,木綿,壺麻苧,小刀,毛抜きなど加工品が現れてくる。ただみやげの習慣が今日のように盛行するのは,その前提となる旅や交通の発達を抜きには考えられず,参勤交代の制が確立し街道が整備され,また先達(せんだつ)や御師(おし)の活躍で庶民の間にも社寺参詣の旅が普及する近世中期以降のことと思われる。普及したといってもかつての旅は,交通手段の未発達はもとより金銭的な面からもだれしもが容易に行えるものではなく,そこで庶民は伊勢講,善光寺講といったを組織し,費用を積み立て講中の代表者を代参に立てる形式をとった。…

※「社寺参詣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」