座頭(ざとう)(読み)ざとう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「座頭(ざとう)」の意味・わかりやすい解説

座頭(ざとう)
ざとう

(1)広義には中世以来、商業・手工業・芸能など諸座の長。

(2)狭義には当道座(とうどうざ)の四官の一つ。江戸中期成立の『当道要集』では、室町初期に足利尊氏(あしかがたかうじ)の庶流と称して世に出た明石覚一(あかしかくいち)が、琵琶(びわ)語りなどの盲人を糾合して当道座をつくり、座中維持のため検校(けんぎょう)、別当(べっとう)、勾当(こうとう)、座頭の四官を厳重に規定したとされる。しかし座頭の語は『源威(げんい)集』文和(ぶんな)4年(1355)2月の東寺合戦の記事に「座等琵琶」とあるのが初見。将軍徳川家康のころには伊豆円一という者が出て、式目の認可を得、座中統制にあたっている。彼らは剃髪(ていはつ)し楽器をもって歌曲し、また按摩(あんま)、鍼(はり)などを主業としたが、前記四官に累進するにはかなりの修道が求められた。一方、売官の弊も生じ、補任(ぶにん)料上納も行われた。これらの費用は座中経営費を差し引き勾当以上に配分されたが、座頭はこれにかわって、士分以下一般民衆の生活の吉凶17種に際し、冥加金(みょうがきん)(座当金)を取得する権利を受けた。また座中には金融業も許され、膨大な財をなす者も生じた。

[平井良朋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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