密(漢字)

普及版 字通 「密(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] ミツ
[字訓] ひそか・やすらか・こまかい

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+必(ひつ)+火。宀は屋、必は(ひつ)で戚(まさかり)。中で聖器の戚に火を加える秘儀で、おそらく祖霊安寧を求める厳重な儀礼であったのであろう。ゆえに秘密・親密・厳密などの意がある。〔詩、周頌、昊天有成命〕に「夙夜(しゆくや)命を基(はじ)むること宥密(いうみつ)なり」の〔伝〕に「なり」とあり、それは安寧を求める儀礼であった。(ふく)・祕(秘)・(ひつ)なども、同じく戚を聖器とする儀礼であろう。〔説文九下に「山の堂の如きなり。山に從ひ、(ふく)聲」とするが、山とは何の関係もない字である。

[訓義]
1. ひそか、密儀、かくす、おくふかい。
2. やすらか、しずか。
3. こまかい、つまびらか。
4. したしむ、つとめる、つつしむ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕密 シノビヤカナリ・キビシ・タシカナリ・ヒソカニ 〔字鏡集〕密 タツ・ヒソカニ・キビシ・シノビヤカナリ・コマカナリ・タシカナリ・シヅカナリ・トドム・カクス・ツツシム・シヅカ・シケシ・チカシ・カタム・マサシアフ

[語系]
密・・謐mietは同声。は〔説文〕七下に「安らかなり」とあり、密と声義同じ。謐は〔説文〕三上に「靜かに語るなり」とするが、聖器の必を用いて、静安の儀礼を行う意と思われる。密に稠密の意があるのは、比pieiと声義通ずるところがあるからである。金文の密の字形に、両戈をならべた形のものがあり、密の呪儀の方法と関係があろう。

[熟語]
密愛・密意・密印・密・密雨・密雲・密・密恩・密函密款密銜密緘・密機・密議・密・密近・密契・密計・密啓・密語・密行密告・密坐・密察・密札・密旨・密指密邇・密事密爾・密・密樹・密集・密書・密章密詔・密親・密靖・密静密戚・密雪・密切・密接・密密訴・密奏密談・密致密緻・密竹密牒密勅密偵・密度・密白・密微密勿・密閉・密・密房・密報・密密・密霧・密約・密諭・密友・密理・密慮・密量・密林・密令
[下接語]
遏密・陰密・隠密・鬱密・奥密・恩密・華密・款密・機密・近密・禁密・緊密・顕密・厳密・細密・密・周密・峻密・純密・詳密・情密・神密・深密・慎密・親密・密・密・枢密・精密・繊密・疎密・致密・緻密・稠密・綢密・篤密・内密・繁密・秘密・微密・密・綿密・茂密・密・網密・宥密・幽密・麗密

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報