関係
かんけい
relation 英語
Beziehung ドイツ語
rapport フランス語
論理学では、かなり形式的に、関係を分類する。たとえば、「Rがaとbとの間に成り立てば、bとaとの間にも成り立つ」という条件を満たす関係Rは「可逆的な関係」とよばれ、「Rがaとbとの間に成り立ち、またbとcとの間にも成り立てば、aとcとの間にも成り立つ」という条件を満たす関係Rは「推移的な関係」とよばれる。一例をあげれば、友人関係は、一般に可逆的な関係であるが、推移的な関係ではない。なお、論理学では、普通の関係のほか、3項関係、4項関係など、一般にn項関係も考える。
たとえば2項関係の場合、その関係の成立する対の全体からなる集合を使ってこの関係を代表させることができる。こうして一般に関係を集合とみなすことにより、集合論の成果を関係についての議論に適用することができるようになり、その結果「関係の論理学」が見通しのよいものとなった。
[吉田夏彦]
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デジタル大辞泉
「関係」の意味・読み・例文・類語
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関係
かんけい
relation
集合の2要素の間の特別な性質。現在の数学で,関係を表現するには集合を利用する。集合 A の元 x∈A と,集合 B の元 y∈B とが,ある関係 R を満たすかどうかが確定しているということは,この関係を満たすような (x,y) の集合
{(x,y)|xRy}⊂A×B
を指定することで得られる。そのため A×B の部分集合自体を,A と B の元の間の関係という。たとえば,実数について,{(x,y)|x≦y} という半平面で順序 ≦ が,対角線 {(x,y)|x=y} で相等 = が規定できる。
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かんけい【関係 relation】
哲学用語。伝統的なヨーロッパの存在観においては,独立自存する〈実体〉なるものがまずあって,実体どうしの間に,第二次的に〈関係〉が成立するものと考えられてきた。これに対して,〈関係〉こそが第一次的な存在であり,いわゆる実体は〈関係の結節〉ともいうべきものにすぎないと考える立場が,仏教の縁起観など,古くから存在したが,現代においてはこの〈関係主義〉的存在観が優勢になりつつある。ところで,〈関係〉とは何であり,それにはいかなる種類があるかについての分析的討究は,仏教哲学においても,西洋哲学においてもロックやD.ヒューム以来おこなわれているが,スタンダードな総括的定見はまだ確立していない。
かんけい【関係 relation】
数学用語。集合Xと集合Y(X=Yでもよい)の元x,yに関する命題で,x,yを定めれば真偽が確定するとき,その命題を関係または2項関係という。X=Y=(実数全体)のときの〈x≧y〉,Y=(Xの部分集合全体)のときの〈x∈y〉などはその例である。一つの関係をRで表したとき,x,yについてその命題が真であるとき,x,yはその関係を満たすといい,xRyと書く。x≧y,x∈yなどの≧,∈は上のRの例である。一つの関係Rに対して,yR-1x⇔xRyによって定まる関係R-1をRの逆関係という。
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普及版 字通
「関係」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の関係の言及
【関係】より
…数学用語。集合Xと集合Y(X=Yでもよい)の元x,yに関する命題で,x,yを定めれば真偽が確定するとき,その命題を関係または2項関係という。X=Y=(実数全体)のときの〈x≧y〉,Y=(Xの部分集合全体)のときの〈x∈y〉などはその例である。一つの関係をRで表したとき,x,yについてその命題が真であるとき,x,yはその関係を満たすといい,xRyと書く。x≧y,x∈yなどの≧,∈は上のRの例である。一つの関係Rに対して,yR-1x⇔xRyによって定まる関係R-1をRの逆関係という。…
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