デジタル大辞泉
「存」の意味・読み・例文・類語
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そん‐・する【存】
(「そんずる」「ぞんする」「ぞんずる」とも)
[1] 〘自サ変〙 そん・す 〘自サ変〙
① ある。そのままである。存在する。
※
今昔(1120頃か)七「然れば、思一、遂に活
(よみがへり)ぬ。今見れば存せり」
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈
夏目漱石〉二「判然たる
区別が存して居るにも関らず」
② 生きながらえる。生存する。
※今昔(1120頃か)五「男、命の存しぬる事を喜て」
③ 残る。残存する。
※
太平記(14C後)一一「驕れる者は失し倹なる者は存
(ソン)す」
[2] 〘他サ変〙 そん・す 〘他サ変〙
① そのままであらしめる。存在させる。保つ。
※百座法談(1110)閏七月一一日「天下しづかならず人民命を存するものありがたし」
※
開化のはなし(1879)〈辻弘想〉初「刀のやふな凶器を終久
(いつまで)も挿ず、頭も毛を存
(ゾン)して」
② 残す。残しとどめる。
※
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉八「穵林登
(ウヱリントン)職分の字を常に心に存する事」
ぞん‐・ずる【存】
〘他サ変〙 ぞん・ず 〘他サ変〙 (多く、聞き手に対して、あらたまった
気持をこめていうのに用いる
謙譲語)
① 考える、思うの意の謙譲語。
※
平家(13C前)七「やがて世のみだれいできて、其沙汰なく候条、ただ一身の嘆きと存じ候」
※
黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)中「花が次になりそうなものかと、わたくしはぞんじますて」
② 知る、承知する、心得るの意の謙譲語。
※今昔(1120頃か)五「汝が云ふ所二つ无し。我理を存ぜり」
※
浮世草子・好色盛衰記(1688)五「爰の
御作法も存
(ゾン)ぜぬなり」
ぞん【存】
〘名〙 (「そん」とも)
① あること。存在すること。生存すること。現存。
ぞん‐じ【存】
〘名〙 (動詞「ぞんずる(存)」の
連用形の
名詞化) 知っていること。承知していること。思っていること。
※金刀比羅本保元(1220頃か)下「各存
(ゾンジ)の旨有ば、子細を奏聞して
聖断を仰べき処に」
ぞん・じる【存】
〘他ザ上一〙 (サ変動詞「ぞんずる(存)」が上一段活用に転じた語) =
ぞんずる(存)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報