精選版 日本国語大辞典 「境界」の意味・読み・例文・類語
きょう‐がい キャウ‥【境界】
〘名〙
① 仏語。
(イ) =きょう(境)⑤〔金剛仙論‐三〕
(ロ) 能力の及ぶ限界。その範囲。
※観智院本三宝絵(984)下「さかひの中にことことくに諸仏の境界になりて、奈良坂口にはみな梵王帝尺守りしかば」
※徒然草(1331頃)一九三「己が境界にあらざる物をばあらそふべからず、是非すべからず」 〔無量寿経‐上〕
(ハ) 六塵の世界。衆生の煩悩を起こさせる世界。
※愚迷発心集(1213頃)「須く境界に向んごとに実に是れ夢の如しと想ふべし」
※今昔(1120頃か)一「若し其、道を成じて広く一切を度せば、我が境界に超て増なむとす」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「ヤレ嬉しやと言った所が腰弁当の境界(キャウガイ)」
③ 精神、感覚などがはたらく対象となるもの。また、それによってもたらされた状態。境地。到達点。
※観智院本三宝絵(984)下「六根をきよめて、仏の境界に入り諸のさはりをはなれて」
※太平記(14C後)一二「適(たまたま)一旦名利の境界(キャウガイ)を離れ」
④ 自分の勢力の及ぶ範囲にいる者。家の子。配下の者。
※高野山文書‐建久四年(1193)二月日・荒川庄盛景没官田支配帳「盛景并子息、縁者、境界、所従、眷属併令レ追二却庄内一」
※源平盛衰記(14C前)二二「縁者境界(キャウカイ)、さすが東国にも多かりければ」
⑤ 六根のあるところ。また六根のはたらく場所。転じて体そのものをさす。
※信心録(ヒイデスの導師)(1592)二「ロッコン ニ タイスル qiǒgai(キャウガイ) ツヨキ トキンバ、スナワチ ロッコン ヲ ソンザス モノ ナリ ト」
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