区区(読み)クク

デジタル大辞泉 「区区」の意味・読み・例文・類語

く‐く【区区】

[ト・タル][文][形動タリ]
まちまちで、まとまりがないさま。
巷説―として一定しない」〈嶺雲明治叛臣伝
価値が低いさま。取るに足りないさま。
「―たる利害のごとき、問題にはならない」〈中島敦弟子
些細ささいなことにこだわって、こせこせしているさま。
「大丈夫―として物を思わんやだ」〈逍遥当世書生気質
[形動][文][ナリ]1に同じ。
「これに対する世評も―で」〈寅彦・災難雑考〉
[類語]細かい些細ささい瑣末枝葉枝葉末節末梢的些事細事小事細かい細細こまごましい煩瑣はんさ瑣瑣ささたるちょっとした取るに足りないたわいない何でもない愚にもつかぬ益体も無いらちも無い高が知れる二次的二義的副次的些些ささささやかわずか幾ばくたかがいささかほんの有るか無きかちょっと一縷いちる一抹些少さしょう末節無駄事雑事微微つまらない無意味下らない問題外部分的派生的卑小眇眇びょうびょうよし無いトリビアル

まち‐まち【区】

[名・形動]物事意見などが、それぞれ異なっていること。また、そのさま。さまざま。「区区な(の)服装」「各人区区に意見を述べる」
[類語]不規則不同不揃い不調和不釣り合い不統一不均衡ちぐはぐばらつきばらばらアンバランス

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精選版 日本国語大辞典 「区区」の意味・読み・例文・類語

く‐く【区区】

〘名〙 (形動ナリ・タリ)
① 面積、数量などがわずかであること。また、そのさま。あるいは、物事の価値が少ないこと。とるにたりないこと。また、そのさま。
※本朝文粋(1060頃)二・応補文章生并得業生復旧例事「且夫王者之用人。唯才是貴。朝為廝養。夕登公卿。而况区区生徒。何拘門資
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉八「此様(こん)な区区たる事は苦に病むだけが損だ損だと思ひながら」 〔春秋左伝‐襄公一七年〕
② 小さなことにこだわること。ぐずぐずすること。こせこせすること。また、そのさま。
※中華若木詩抄(1520頃)下「行人の毎日区々として、名利の塵に、奔走するを」
③ ものごとや意見などが一つ一つ別々でまとまっていないこと。また、そのさま。まちまち。
菅家文草(900頃)二・夏日偶興「区々心地無煩熱、唯有夢中阿満悲
大塩平八郎(1914)〈森鴎外〉附録「答案は区々であった」
④ けんめいにつとめるさま。けんめいなさま。
※菅家文草(900頃)三・舟行五事「区々渡海麑、吐舌不蹄」 〔孔融‐薦禰衡表〕

まち‐まち【区区】

〘名〙 (形動ナリ・タリ) それぞれ別々に区切ってあること。それぞれに異なること。また、そのさま。さまざま。くく。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「八方門の区(マチマチニ)別れたる十二部の綜要なり」

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普及版 字通 「区区」の読み・字形・画数・意味

【区区】くく

小さな、つまらないこと。そのことだけを思う。〔文選古詩十九首十七〕書を懷袖の中に置く 三まで、字滅せず 一心、區區をく 君の察せざるを懼(おそ)る

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