(読み)すけ

精選版 日本国語大辞典 「助」の意味・読み・例文・類語

すけ【助】

[1] 〘名〙 (動詞「すける(助)」の連用形の名詞化)
① 助けること。たすけ。手伝い。援助加勢。また、その人。助手。すけて。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九「此の時に薬の資(スケ)無きときには必病苦を生ず」
源氏(1001‐14頃)乙女「すけなくて、身貧しくなむありけるを」
③ 昔、相撲で、関脇のこと。すけて。
資本。もとで。〔日本一鑑窮河話海(1565‐66頃)〕
⑤ 物を置く場合など、ぐらつかないよう下に敷き、また、支えること。また、そのもの。
※玉塵抄(1563)一一「ころぶ者をすけをかうてたもったことぞ」
⑥ 江戸時代、上方で、町内回りをする髪結い手助けをするもの。
滑稽本・串戯二日酔(1811)下「まはりのかみゆひ、スケの男をひとりつれていそがしそふに」
⑦ 他人の杯の酒を代わって飲むこと。また、その人。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)六「おすけを仕れと仰付られ、厭はならず度度盃重なりて」
役者や寄席芸人などの応援出演。また、代演。
役者論語(1776)佐渡島日記「他国めぐりの芝居の笛吹、又は何かの助(ス)けなどに頼まれ行」
※いろは交友録(1953)〈徳川夢声〉し「私にしてもスケ(補助出演)をヌクくらいは、当り前だと思ってる」
⑨ 「すけべえ(助兵衛)」の略。
※評判記・長崎土産(1681)四「一つの疵有。今年十五にて大のすけ也」
⑩ 子どもを負う帯。繦(すき)
⑪ (「なごすけ」の略) 女、娘をいう、不良仲間の隠語。〔隠語全集(1952)〕
ヤゴ分際(1962)〈藤枝静男〉「『俺のスケもここへ来る』と云った」
[2] 〘接尾〙 ある語に添えて人名化した語を作る。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)初「貴様は諸事息子きどりだが、承知之助(スケ)か」

す・ける【助】

〘他カ下一〙 す・く 〘他カ下二〙
① たすける。手伝う。手をかす。
古事記(712)中・歌謡「木の間よも い行き目守(まも)らひ 戦へば 我はや飢(ゑ)ぬ 島つ鳥 鵜飼が伴(とも)須気(スケ)に来ね」
歌舞伎年代記(1811‐15)八「どふぞ貴さま太義ながら来年一っぱい又役者になって。助(スケ)ては呉(くれ)まいか」
暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉二「自分は只(ただ)、それを助(ス)けるだけでいいのだといふやうな話をした」
② 酒の席で、さされた杯の酒を飲めないでいる人の杯を手伝って飲む。杯のあいをする。中飲(なかのみ)をする。
※酌之次第(1592)「中のみと云事〈略〉はじめ一つきこしめし候て、二つめをすけ参らせ候也」
③ 費用の一部を負担する。
※滑稽本・古朽木(1780)三「表向の払十両程を親仁にすけさせ、跡五十両さっぱりと払を済し」
④ 物が傾いたり、倒れたりしないように下敷を置く。物を支えるために何か下に置く。
※日葡辞書(1603‐04)「ハンダイノ ヒクイ カタニ イタヲ suqei(スケイ)〈訳〉食卓の低い方の下に板を入れよ」

た‐す・く【助】

〘他カ下二〙 ⇒たすける(助)

す・く【助】

〘他カ下二〙 ⇒すける(助)

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デジタル大辞泉 「助」の意味・読み・例文・類語

じょ【助】[漢字項目]

[音]ジョ(呉) [訓]たすける たすかる すけ すける
学習漢字]3年
〈ジョ〉
たすける。たすけ。「助言助成助長助命助力一助援助救助互助賛助自助神助扶助補助
主となるものの添えとして働く。「助詞助手助役助教授
〈すけ〉「助太刀雲助三助甚助福助
[名のり]たすく・ひろ・ます

すけ【助】

[名]
助けること。手伝うこと。また、その人。
「貴様だったろう、爺の―をして遣ったのは」〈木下尚江良人の自白
芝居・演芸などで、応援出演する人。また、ある人の代わりに出演する人。代演。
歌舞伎台本を合作するとき、立作者たてさくしゃを補助する立場の作者。
他人の杯の酒を当人に代わって飲むこと。また、その人。
あいをいたせ、お―を仕れと仰せつけられ」〈浮・禁短気・六〉
《婦女子をいう盗人などの隠語「なごすけ」の略》俗に、若い女性のこと。
[接尾]
事物の特徴などをとってそれに添え、人の呼称として用いる。「飲み」「ねぼ
受け答えなどの言葉の終わりを省略し、代わりに軽くふざけた気持ちで擬人化して添える。「合点承知の

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