福助(読み)ふくすけ

精選版 日本国語大辞典 「福助」の意味・読み・例文・類語

ふく‐すけ【福助】

〘名〙
① 幸福を招くといわれる縁起人形。背が低くて頭が大きく、ちょんまげに裃(かみしも)姿で正座している。→叶福助(かのうふくすけ)。〔俚言集覧(1797頃)〕
② 転じて、頭の異常に大きい男。
団団珍聞‐六九三号(1889)「福助座元もきっと福々は知れた事」

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デジタル大辞泉 「福助」の意味・読み・例文・類語

ふく‐すけ【福助】

頭が大きくてちょんまげ結い、背は低く、童顔で、上下かみしもをつけて正座している男の人形。幸福を招くという。叶福助かのうふくすけ
1に似て頭の特に大きい人。

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改訂新版 世界大百科事典 「福助」の意味・わかりやすい解説

福助 (ふくすけ)

縁起人形の一種。童顔の大頭で裃をつけて座った人形。1802年(享和2)長寿で死んだ摂州西成郡の百姓佐五右衛門の子佐太郎が,身長2尺(約60cm)にみたない大頭の小人であったが,これが幸いして幸運に恵まれた生涯を送ったところから,その姿を写して福徳招来の縁起物とし,享和年間(1801-04)江戸で〈叶福助〉の人形が流行したという。一説に京の大文字屋という大きな呉服屋に頭の大きな小男の主人がいて,一代で大福長者となったが,町の貧民に施しをして助けたので,貧民たちが彼の像を作って報恩したのが福助人形の始めともいう。1773年(安永2)の《吹寄叢本》にお福という女が福助に嫁ぐという話があり,後に福助とお福の人形を一対として縁起棚に飾る風も生まれ,文化年間(1804-18)には麻裃姿の福助とお多福の面に紅前垂れ姿のお福が一組になって祝詞を述べてまわる門付があったという。なお福助は徳助,お福はお多福とも呼ばれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福助」の意味・わかりやすい解説

福助
ふくすけ

靴下・衣料メーカー。足袋老舗。 1882年辻本福松により創業,足袋の製造を専業とする。 1900年「福助」の商標登録が認可。合名会社を経て,19年福助足袋が設立された。 32年靴下の製造に着手し,衣料にも進出。 39年福助商事を設立,64年現社名に変更,79年福助商事を合併した。事業内容は,靴下を中心に,足袋,肌着,外衣,シューズなどの仕入れおよび販売。有名ブランドの契約をすすめ,高級化路線を推進している。売上構成比は,靴下 60%,アウターウエア 17%,インナーウエア 13%,シューズ4%,足袋4%,その他2%。年間売上高 681億 2900万円,資本金 33億 8000万円,従業員数 1424名 (1999) 。

福助
ふくすけ

幸福を招来するという縁起人形の一種。背が低く,童顔で頭の大きい男性人形で,ちょんまげを結い,裃 (かみしも) を着けて正坐した形。江戸時代,享和期 (1801~04) 頃に死んだ長寿の佐太郎という実在人物を模したものといわれている。佐太郎は摂津国の農家の生れで,身長約 60cmぐらいの大頭の小人 (こびと) であったが,幸運な生涯をおくり長寿であったといわれる。しかし,江戸ではすでに享保期 (1716~36) に,土製の福助人形が流行したという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「福助」の意味・わかりやすい解説

福助
ふくすけ

背が低く、ちょんまげを結い、裃(かみしも)を着けて座った縁起人形。とりわけ頭の大きいのが特色。人形は、江戸時代、摂津国西成(にしなり)郡に大頭で小柄の人がおり、幸福な一生を過ごしたので、その姿に似せたといわれているが、この説は疑わしい。『俚言集覧(りげんしゅうらん)』(1791刊)では、寛政(かんせい)年間(1789~1801)に製作しだしたとなっている。人形は福を招き、運の開けるものとして、店先などの棚に飾られることが多い。福をかなえることから叶(かなえ)福助ともいわれる。

[芳井敬郎]

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「福助」の解説

福助

正式社名「福助株式会社」。英文社名「Fukuske Corporation」。繊維製品製造業。明治15年(1882)創業。平成12年(2000)設立。本社は東京都渋谷区神宮前。豊田通商子会社の衣料品会社。足袋装束店として発祥。主力商品は靴下。ほかにストッキング・下着など。全国の百貨店・総合スーパーなどに販売。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「福助」の解説

福助
(通称)
ふくすけ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
福助東藤袴
初演
文政6.8(江戸・森田座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「福助」の解説

福助

株式会社福助が展開する寿司屋のチェーン。

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世界大百科事典(旧版)内の福助の言及

【見世物】より

… そして寛政(1789‐1801)以後には,駝鳥(だちよう),大鱶(おおふか),水豹(あざらし),足芸,飴(あめ)の曲吹き,おどけ開帳,謎解き春雪,芸州宮島大鳥居回廊,祇園会山鉾,籠細工釈迦,壬生(みぶ)狂言,ビイドロ細工阿蘭陀船,珍貝細工,羽二重細工,桶細工その他細工物,看々(かんかん)踊,唐人蛇踊,百人芸,生人形,駱駝(らくだ),山男,蛇娘,菊細工,大象,翻車魚(まんぼう),餅曲搗き(もちのきよくづき),水からくり,譬くらべ,眼力など,種々雑多な見世物が行われた。また福招きの人形として知られる〈叶(かのう)福助〉の流行にのって,文化1年(1804)春には,生福助の見世物が最も人気があった。幕末には,竹沢藤治の曲独楽や早竹虎吉の軽業の類が,歌舞伎の所作事の振(ふり)を取り入れて〈高小屋物〉と称して,見世物の第一等の地位を占めた。…

【耳】より

…各地に出土する埴輪には耳環はあるが耳介は決して大きくはない。しかし,聖徳太子像はみごとな福耳を示しているし,江戸時代にその信仰が盛んになった恵比寿,大黒,福助の像も豊かな耳朶を強調している。逆に耳朶が小さく流れているのは俗に〈貧乏耳〉といわれるが,これらの考え方は日本古来というよりも,先に述べたような仏教や古代中国思想が根づいたものと思われる。…

※「福助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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