ぽっと(読み)ポット

デジタル大辞泉 「ぽっと」の意味・読み・例文・類語

ぽっ‐と

[副](スル)
突然に物事が現れるさま。「考えがぽっと浮かぶ」
急に明るくなったり、赤くなったりするさま。「電灯ぽっとつく」「ぽっとほおを染める」
ぼんやりしているさま。ぽうっと。「ぽっとして見ている」
[類語]あんぐりあんごりぼんやりぼうっとぼそっとぼけっとぼさっとぼさぼさぽうっときょとんぽかんぽかり不明瞭灰色ぼうぼやっともやもやおぼろおぼろげ不鮮明朦朧もうろう模糊もこ茫漠ぼうばく茫茫ぼうぼうばく漠然ばくぜん不詳未詳未知未確認迷宮入り

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精選版 日本国語大辞典 「ぽっと」の意味・読み・例文・類語

ぽっ‐と

〘副〙
① 火、煙、においなどが急に立ちのぼるさまを表わす語。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「箪笥を啓けると茀然(ポッ)と起つ麝香の香に」
② 日が射したり、光がともったりするさまを表わす語。
婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「ぽッと腰障子へ暖う春の日は当るが」
③ ある表情や様子やイメージなどが不意に、無意識に生じるさまを表わす語。
※それから(1909)〈夏目漱石〉四「三千代の顔を頭の中に浮べやうとすると〈略〉此黒い、湿んだ様に暈された眼が、ぽっと出て来る」
④ 急に、あまり考えもなく、ある行動などをするさまを表わす語。「田舎からぽっと出てくる」
⑤ 顔や体がほてったり、赤くなったりするさまを表わす語。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「沢(つや)の無い頬が仄(ポッ)赤味を帯んで来た」
⑥ 自分を失うさまを表わす語。特に、異性に気をうばわれるさまについていう。
※歌謡・端唄部類(1858‐65)大津ゑかへうた「かた気の男もぽっとして」
⑦ 生活の苦労もなくぼんやりとしているさまを表わす語。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴三四母親に甘やかされてぽっと育ったる世間知らずの上に」

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