精選版 日本国語大辞典 「ぼんやり」の意味・読み・例文・類語
ぼんやり
[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 形や色彩が、ぼけていてはっきりしないさまを表わす語。
※俳諧・おくれ馳(1698)「ぼんやりと峯より峯の冬の雲〈惟然〉」
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「二階はラムプが陰々(ボンヤリ)点いてゐて」
② 事柄があいまいではっきりしないさまを表わす語。
※俳諧・古学截断字論(1834)上「老俳にも初心にも只ぼんやりとしてはきと分らず」
③ 元気のないさま、また気持が集中していないさまを表わす語。
※和英語林集成(初版)(1867)「Bonyari(ボンヤリ) シタ ヒト」
④ 気のきかないさま、間が抜けているさまを表わす語。
※ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉「余程ぼんやりとした小僧で」
⑤ 商取引で市場に活気がなく、相場が低迷するさまを表わす語。⇔しっかり。
[2] 〘名〙
① 呆然としていたり、うかつであったりする状態。
※坑夫(1908)〈夏目漱石〉「ぼんやりから覚めて見れば、自分はいつか娑婆の人間になってゐる」
② 利発でない人。気のきかない人。
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「お類も決して遅鈍(ボンヤリ)の方ではなかった」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報