デジタル大辞泉
「仕」の意味・読み・例文・類語
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つか‐まつ・る【仕】
(「つこうまつる(仕)」あるいは「つかんまつる(仕奉)」の変化したもの)
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)二「恒に親り十方の仏に承(ツカマツル)こと得しめむ」
※大鏡(12C前)六「堀河の左大臣殿は、御社までつかまつらせ給ひて」
[2] 〘他ラ四〙
※宇津保(970‐999頃)
嵯峨院「君のこもりおはするに、なにわざをつかまつらん」
※
平家(13C前)四「変化の物つかまつらんずる仁は
頼政ぞ
候ふ」
※大鏡(12C前)一「太政大臣殿にて元服つかまつりし時」
※落語・反魂香(1895)〈柳家禽語楼〉「一席申上げて御笑ひを願ふことに仕(ツカマツ)りますが」
[
補注]平安初期の訓点資料にみられる「つかまつる」は、あるいは「つかむまつる」(「む」は撥音mか)の撥音無表記とも考えられるとする説がある。平安初期から
中期にかけてのころの他の資料の
用例にも、ほぼ同様の事情があったかもしれず、当時、確実にこの語形の存在を主張することはむずかしい。
つか・える つかへる【仕】
〘自ア下一(ハ下一)〙 つか・ふ 〘自ハ下二〙
①
目上の人のそばにいて、その用をする。その人に奉仕する。また、目上の人のために、ある
事柄に奉仕する。
※
万葉(8C後)二・一五五「かしこきや
御陵(みはか)奉仕流
(つかふル) 山科の 鏡の山に」
※
古今(905‐914)神あそびの歌・一〇八四「
美濃の国関のふぢ川絶えずして君につかへんよろづ代までに〈
きびのくにの
うた〉」
※平家(13C前)灌頂「さやうの事につかへ奉るべき人もなきにや」
② 官などの、公的な
地位について、その職に奉仕する。仕官する。
※万葉(8C後)一八・四〇九四「
大伴の 遠つ神祖
(かむおや)の その名をば 大来目主と負ひ持ちて 都加倍
(ツカヘ)し官
(つかさ)」
つか・ゆ【仕】
〘自ヤ下二〙 (ハ行下二段活用の「つかふ(仕)」から転じて、室町時代頃から用いられた語。
多くの場合、
終止形は「つかゆる」の形をとる) =
つかえる(仕)※
史記抄(1477)
一二「人にはやつかゆるならば、一心につかようぞ」
つかえ つかへ【仕】
〘名〙 (動詞「つかえる(仕)」の連用形の
名詞化) 仕官すること。奉公すること。また、仕える者。宮仕えなどする身。
※
舞姫(1890)〈
森鴎外〉「学の道をたどりしも、仕の道をあゆみしも」
し【仕】
〘名〙 仕えること。官職につくこと。〔漢書‐蒯通伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報