這出(読み)はいいず

精選版 日本国語大辞典 「這出」の意味・読み・例文・類語

はい‐い・ず はひいづ【這出】

〘自ダ下二〙
※枕(10C終)一五一「肥えたるちご〈略〉はひいでたるもまた、みじかきが袖がちなる着てありくも、みなうつくし」
② こそこそ出る。動作主を卑しめていう。
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)五「己(おのれ)日本小国よりはい出、もろこしの地をふみあらし」

はい‐・でる はひ‥【這出】

〘自ダ下一〙 はひ・づ 〘自ダ下二〙
① はって外へ出る。はいだす。はいいず。
たまきはる(1219)「思ひもあへず、縁にはひでぬ」
② 苦労して、ある状態からぬけ出る。
※ものいわぬ農民(1958)〈大牟羅良〉行商四カ年「軍隊出世糸口だったり、また貧しさから這い出る手段にもなっていたようです」

はい‐で はひ‥【這出】

〘名〙
① はい出ること。また、そのもの。
※俳諧・鷹筑波(1638)二「草も木も春ははいでのことし哉〈政次〉」
田舎から都会奉公に出て来たばかりであること。また、その人。山出し
咄本醒睡笑(1628)五「その給仕はこのほどの這出にて候ゆゑ」

はい‐だし はひ‥【這出】

〘名〙
① はい出すこと。はい出したもの。
② 出て来たばかりであること。また、そのもの。かけだし。山だし。
※妹と背かゞみ(1886)〈坪内逍遙〉一「やっと売だした新開業商人(ハイダシあきんど)

はい‐いで はひ‥【這出】

〘名〙
① はい出ること。はいで。
② 門の出口。また、門から外。はしりいで。
※丹後守為忠百首(1134頃か)夏「竈もるみづはのうみないほりよりはひいでの小田の早苗取見よ〈源仲正〉」

はい‐だ・す はひ‥【這出】

〘自サ五(四)〙
① はって出る。はうようにして外へ出る。はいでる。
武蔵野(1887)〈山田美妙〉上「切裂かれた疵口からは怨めしさうに臓腑が這出して」
② はいはじめる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報