芝山細工(読み)しばやまざいく

改訂新版 世界大百科事典 「芝山細工」の意味・わかりやすい解説

芝山細工 (しばやまざいく)

工芸技法の一つ。芝山象嵌,芝山彫とも称される。おもに象牙紫檀素地に,牙角,螺鈿(らでん),珊瑚(さんご)などを薄肉に彫り,花卉(かき),鳥獣,人物などを表して嵌入したもの。江戸時代末期に芝山仙蔵が創始したところからその名がついた。幕末から明治時代前半にヨーロッパ好評を得,特に輸出品として盛んに製作された。明治前期の作家として芝山惣七,芝山易政らが知られるが,この細工を手がけた工人は多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「芝山細工」の意味・わかりやすい解説

芝山細工【しばやまざいく】

細工を施した貝,牙角,陶磁,べっこうなどを象牙や紫檀の素地にはめ込んだもの,またはその技法をいう。下総(しもうさ)芝山の大野木専蔵(のち芝山仙蔵と改称)が安永ごろ始めたもので,幕末〜明治時代前半にヨーロッパで好評を得,横浜方面で輸出用の屏風(びょうぶ),額,置物などが多く作られた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「芝山細工」の意味・わかりやすい解説

芝山細工
しばやまざいく

漆器加飾技法の一種。芝山象眼、芝山彫とも称す。江戸時代後期、安永(あんえい)年間(1772~81)に、下総(しもうさ)(千葉県)の大野木専蔵(のち芝山仙蔵と改名)が考案した技法で、牙(きば)、角、貝、甲羅(こうら)の断片を染色して、花鳥文様に組み合わせ、漆塗りの屏風(びょうぶ)や額面の地板に嵌入(かんにゅう)したもの。明治期には横浜を中心に製作され、欧米へ輸出された。

[郷家忠臣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「芝山細工」の意味・わかりやすい解説

芝山細工
しばやまざいく

漆工芸の一技法。角や貝などを染色し,各種の文様に切って彫刻を加え,漆器や漆塗りの屏風,額などの地板に象眼 (ぞうがん) したもの。江戸時代末期に下総 (しもうさ) 芝山の大野木専蔵 (のち芝山仙蔵と改名) が考案したといわれる。明治には盛んに輸出された。砥山光 珉 (とやまこうみん) ,片岡好信などが当時の名手。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android