考・勘(読み)かんがえる

精選版 日本国語大辞典 「考・勘」の意味・読み・例文・類語

かんが・える かんがへる【考・勘】

〘他ア下一〙 かんが・ふ 〘他ハ下二〙 (古くは「かむがふ」とも表記)
① いくつかの物事をひきくらべて調べる。勘案する。
書紀(720)崇神一二年三月(熱田本訓)「更に人民(おほつたから)を校(カムカヘ)て、長幼(このかみおとと)の次第(ついで)、及び課役(おほせつかう)先後(さきのち)を知ら令むべし」
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「毎度かつにのる先蹤をかんがふるに、夜うちにしかず」
② 罪を問いただす。吟味して処罪する。勘当する。
※書紀(720)舒明八年三月(図書寮本訓)「是の時に三輪君、小鷦鷯(をささき)、其の推鞫(カムカフルこと)苦みて頸を刺して死ぬ」
※能因本枕(10C終)五八「いみじう腹立しかりてかんかへて滝口にさへわらはる」
③ 易(えき)によって吉凶を判断する。うらなう。
源氏(1001‐14頃)桐壺宿曜の賢き、道の人にかんがへさせ給ふにも」
平家(13C前)一一「いるかは常に多けれども、いまだかやうの事なし。いかがあるべきとかんがへ申せ」
④ 物事を、筋道を立てて思いはかる。あれこれと頭を働かせて判断する。思考をめぐらす。
※法華義疏長保四年点(1002)一「文を推(おしはか)り義を考(カムカフレハ)
⑤ 学びとる。学習する。学ぶ。
※浮世草子・近代艷隠者(1686)二「我家の武を稽(カンガヘ)、詩哥の大概を学び」
目的のものや、よい機会などをねらう。様子をうかがう。
咄本聞上手(1773)まり箱「それから後は、おやぢの留守ばかりかんがへて蹴る」

こうが・う かうがふ【考・勘】

〘他ハ下二〙 (「かんがう(考)」の「ん」を「う」と表記したもの)
① 思いをめぐらして判断する。特に、前例や暦などにてらして、事の是非を判断する。
※書紀(720)大化元年八月(北野本訓)「先づ、勘当(カウカ)へて、奏せ」
※源氏(1001‐14頃)行幸「近う又よき日なしとかうがへ申しけるうちに」
罪状を判断して罰する。責める。とがめる。また、勘当する。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「兄の兵衛佐の君をいみじうかうがへ〈略〉責め給ふ」

かんが・ゆ【考・勘】

〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段動詞「かんがふ」から転じて、室町時代ごろから用いられた語。多くの場合、終止形は「かんがゆる」の形をとる) =かんがえる(考)〔運歩色葉(1548)〕

かんが・う かんがふ【考・勘】

〘他ハ下二〙 ⇒かんがえる(考)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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