大概(読み)たいがい

精選版 日本国語大辞典 「大概」の意味・読み・例文・類語

たい‐がい【大概】

[1] 〘名〙
① (形動) 物事の量、範囲などについて、その大部分。また、大部分のものがそうであるさま。ほとんど。たいてい。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※醍醐寺新要録(1620)「隆源僧正応永十二年記云〈略〉只外御厨子寸法大概也」
丸善三越(1920)〈寺田寅彦〉「三越に大概な物はあるが、日本刀とピストルがない」 〔全唐詩話‐序〕
② ある物事の大筋となる部分。だいたいのあらまし
※小右記‐長和四年(1015)七月七日「天旨難背。仍聊廻愚慮、大概洩奏耳」
歌謡・山家鳥虫歌(1772)上「五畿内の外は大がいを述ぶる」
③ (形動) 事柄の性質や程度が特殊でなく一般的なこと。ありふれていること。また、そのものやそのさま。ふつう。たいてい。
※洒落本・禁現大福帳(1755)三「例の取肴の芝海老で大概(タイガイ)は踊衣装を釣出す」
④ (形動) ある程度のところでやめておくこと。いいかげんにすること。また、そのさま。
大乗院寺社雑事記‐康正三年(1457)五月二一日「少々事は大概にて御免可畏入之由申入之、退出云々」
⑤ (形動) ふつうではないこと。ひととおりでないこと。また、そのさま。
※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)五「男共も嘸(さぞ)草臥(くたびれ)。イヤもう草臥も大がい」
[2] 〘副〙
① 次に述べる物事が全部ではないにしても、そのほとんどにわたって及ぶさまを表わす語。だいたい。おおかた。
兵範記‐仁平三年(1153)四月八日「奉仕御装束、大概見于指図
十善法語(1775)五「死する病人顔色にも大槩あらはる」
② 多分そうであろうという予想を表わす語。おそらく。たいてい。
武蔵野(1887)〈山田美妙〉上「此風の言葉は慶長頃の俗語に足利頃の俗語とを交ぜたものゆゑ、大概其時代には相応して居るだらう」

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デジタル大辞泉 「大概」の意味・読み・例文・類語

たい‐がい【大概】

[名・形動]
物事の全部ではないが、その大部分。ほとんど。だいたい。たいてい。副詞的にも用いる。「大概の人は知らない」「漱石作品大概読んだ」「朝食大概パンだ」
物事のおおよその内容。あらまし。概略。大要。「計画の大概を説明する」
物事の程度などがありふれていること。また、そのさま。たいてい。「大概な(の)ことには驚かない」
物事の程度があまり極端にならないこと。ある程度でやめておくこと。また、そのさま。ほどほど。「大概な(の)ところで切り上げなさい」「いたずらも大概にしろ」
[副]
かなりの程度に達するさま。いいかげん。「大概嫌になる」
推測がかなり確かなさま。たぶん。おそらく。「これだけ言っておけば大概大丈夫だろう」
[類語]大抵一般普通全般に総じて概して多くおしなべておおむね通例通常一体に総体およそ・広く・遍く広い幅広い手広い広範広範囲多方面多角多面多岐さまざま各種種種諸種いろいろ多様多様化多面的多種多種多様多彩数数いろんなとりどり色とりどり諸諸もろもろ百般万般諸般多元多元的多角的横断的複眼的概要概略大要あらまし大筋概括粗筋大意大略大綱概況大枠あらかた輪郭アウトライン縮図レジュメ抄録摘要提要梗概ほとんど大部分大方大半大多数絶対多数九分通り十中八九九分九厘多数数多無数あまたあまねく通じてほぼおおよそ大体

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普及版 字通 「大概」の読み・字形・画数・意味

【大概】たいがい

あらまし。

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