缶(漢字)

普及版 字通 「缶(漢字)」の読み・字形・画数・意味


6画

[字音] フ・カン(クヮン)
[字訓] ほとぎ・もたい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
土器のほとぎの形。〔説文〕五下に「瓦なり。酒漿を(い)るる以(ゆゑん)なり。秦人、之れを鼓(う)ちて以て謌(うた)をす。象形」という。〔礼記、礼器〕に「五獻の門外は缶、門は壺なり」とあって、壺と同じく酒器・水器として用いる。また釣瓶(つるべ)に用いた。〔史記、(りん)相如伝〕に、相如が秦王にせまって、缶を鼓って秦声を歌わせたことがみえる。寶(宝)は缶声の字。古くその音があったのであろう。いまの常用漢字では、缶をの意に用いる。

[訓義]
1. ほとぎ、もたい、土製の酒器、また水器。
2. つるべのかめ。
3. 量器、十六斗。
4. かん略字

[古辞書の訓]
名義抄〕缶 ホトギ・マタシ 〔字鏡集〕缶 ホタギ・モタヒ・ツボ

[部首]
〔説文〕に・罌・・缺(欠)・罅・など二十字、〔新附〕としてを加え、〔玉〕に四十二字を属する。缶は陶の初文、帝尭陶唐氏、堯(尭)は土器を重ね繞(めぐ)らして焼成し、陶と化する意の字である。

[声系]
〔説文〕に缶声として寶など二字を収める。金文の寶の字形に含まれるものは、缶の字形と少しく異なるが、大きな蓋(ふた)のある土器で、やはり缶の初文であろう。彝器(いき)の銘に「寶彝(ほうそんい)を作る」というのが常例で、缶を寶の字に用いることがある。

[熟語]
缶米
[下接語]
盈缶・罌缶・瓦缶・玉缶・撃缶・鼓缶・叩缶・香缶・缶・荘缶・拊缶・覆缶・瓶缶・宝缶・盆缶・用缶


24画

(異体字)缶
6画

[字音] カン(クヮン)
[字訓] つるべ・かん

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(かん)。〔説文新附〕五下に「なり」とあり、注の器で水器。〔集韻〕に「なり」とあり、つるべをいう。いま略して缶(ふ)を用いるが、その字はほとぎ。声義ともに異なる。

[訓義]
1. つるべ。
2. かん。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ツルベ・ホトキ 〔字鏡集〕 モタヒ・カメ・ツルベ・ホトキ

[熟語]

[下接語]
・鉄・瓶・薬


常用漢字 6画

(旧字)
24画

[字音] カン(クヮン)
[字訓] かめ・かん

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
旧字はに作り、(かん)声。缶(ふ)はほとぎ。土器で瓶・甕の類をいう。いまの略字としてその字を用いる。

[訓義]
1. かめ、かん。
2. と通じ、つるべ。

[古辞書の訓]
和名抄 留閇(つるべ) 〔立〕 ツルベ・ホトキ・カメ・モタヒ

[熟語]
缶子缶底
[下接語]
汽缶薬缶

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報