カン(英語表記)Caen

デジタル大辞泉 「カン」の意味・読み・例文・類語

カン(Caen)

カーン

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改訂新版 世界大百科事典 「カン」の意味・わかりやすい解説

カン
Caen

フランス北西部,カルバドス県の県都。人口11万4079(1999)。古来,下ノルマンディー地方の中心都市で,オルヌ川に面する。運河で北方約15kmのイギリス海峡と結ばれ,周辺に鉄鋼・金属・自動車・電機電子工業などの工業地域がある。とくに製鉄業は重要。第2次大戦末期に連合国軍の上陸作戦の戦場となり,市街大部分が破壊されたが,西フランス有数の工業都市として復興した。
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カンはノルマン公国諸公のもとで,とりわけ11世紀,ウィリアム1世(征服王)の時代に発展をみた。征服王の創建になる男子修道院付属サンテティエンヌ教会(1077)と,それと対をなす王妃マティルダの創建になる女子修道院付属ラ・トリニテ教会(1066)は,共にカン産出の豊富な石材を使用したノルマン様式ロマネスク建築の代表例。幸い第2次大戦末期の大爆撃の破壊を免れた。前者は装飾を排した厳格明快な石積みによる男性的空間構成を示し,それに対し後者は女子修道院にふさわしく装飾性を加味した優雅な姿を伝える。いずれもノルマン様式の原型として征服後のイングランドの教会建築の範例となり,大陸ゴシック建築にも影響を及ぼした。征服王城郭跡にはノルマンディー美術館がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カン」の意味・わかりやすい解説

カン
Caen

フランス北西部,カルバドス県の県都。大西洋に注ぐオルヌ川河口から 14km上流の河港都市。10世紀以後ノルマンディー公国(→ノルマンディー)の重要な都市となり,ウィリアム1世の時代にはバスノルマンディーの首都であった。以後フランス,イングランド間の戦いなどでたびたび損害を受け,特に第2次世界大戦中の 1944年に市の北方ノルマンディーに上陸し南下したイギリス=カナダ軍とドイツ守備軍との激戦では,市街の 3分の2が破壊された(→オーバーロード作戦)。しかし聖エティエンヌ修道院聖堂,ラトリニテ修道院聖堂(ともに 1060年代)など,ノルマン文化を伝えるかなりの数の建築物が戦火を免れている。ウィリアム1世の墓もここにある。19世紀以来の港町で,モンドビル付近で産出する鉄鉱石の輸出,石炭の輸入によって繁栄した。鉄鋼業,自動車,電機などの工業も盛ん。バスノルマンディー地方の物資の集散地としての機能も重要である。1432年創設の大学がある。人口 10万9899(2008)。

カン
Cão, Diogo

15世紀後半頃在世したポルトガルの航海者,探検家。アフォンソ5世 (アフリカ王)に仕えた。コンゴ川を発見し (1482.8.) ,セントカサリーン岬 (南緯1°52′) からクロス岬 (南緯 21°50′) までのアフリカ西海岸を探検した。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「カン」の解説

カン

オーストリアのピアニスト。ピアノ指導者としても活躍し、日本でも1955年から1958年にかけて東京藝術大学で教授を務めた。フリートマン=シュラーやエルンスト・ブロッホ、フリードリヒ・ヴューラー、アウ ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

百科事典マイペディア 「カン」の意味・わかりやすい解説

カン

フランス北西部,ノルマンディー地方カルバドス県の県都。カン運河でイギリス海峡に通ずる。男子修道院(11―17世紀),サン・ピエール教会(11―16世紀),カン大学(1437年創立)がある。機械,製鉄,電機・電子工業が行われる。11万2846人,都市圏人口18万人以上(1990)。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「カン」の解説

カン

カガン(カン)

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世界大百科事典(旧版)内のカンの言及

【ノルマン様式】より

…厳しい論理的構成の追求は,他のロマネスク様式に特有の身廊部の石組ボールト架構と饒舌な図像彫刻装飾を避け,伝統的な木骨天井を採用し,建築構造を乱さないよう主に幾何学文様を限られた部位に施した。この様式は11世紀半ばころウィリアム1世の故郷カンのラ・トリニテ教会とサンテティエンヌ教会で完成され,ノルマンディー一帯と征服後のイングランド(ウィンチェスター大聖堂ほか)に伝播した。しかしイングランドでは,身廊を延長し塔を増し(グロスター大聖堂ほか),また図像彫刻を施し(イーリー大聖堂ほか),いっそうの壮大さと装飾的豊かさへと向かった。…

※「カン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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