秋津島(読み)アキツシマ

デジタル大辞泉 「秋津島」の意味・読み・例文・類語

あきつ‐しま【秋津島/秋津洲/蜻蛉洲】

《古くは「あきづしま」》
大和やまと国の異称。また、広く日本をさす。あきつくに。あきつしまね。あきつす。
「そらみつ大和の国を―とふ」〈・下・歌謡
[枕]大和」にかかる。
「うまし国そ―大和の国は」〈・二〉
[類語]日本大和やまと日の本八洲国やしまくに大八洲おおやしま敷島葦原あしはらの中つ国豊葦原とよあしはら瑞穂みずほの国和国わこく日東東海扶桑ふそう神州本邦本朝ジャパンジパング

あきず‐しま〔あきづ‐〕【秋津島】

あきつしま

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋津島」の意味・わかりやすい解説

秋津島
あきづしま

通説では、『日本書紀』の第6代孝安(こうあん)天皇の「葛城室之秋津嶋宮(かづらきのむろのあきつしまのみや)」の記事と、神武(じんむ)紀31年、同地における秋津島の称の起源伝承をもとに、秋津を奈良県御所(ごせ)市内の地名とし、この地名が大和(やまと)、さらに日本の総称、また大和にかかる枕詞(まくらことば)となったと説く。しかし孝安天皇の宮について『日本書紀』が「都を室(むろ)の地に遷(うつ)す。是(ここ)を秋津島宮といふ」と述べるによれば、秋津を地名とはみなしがたく、また神武紀の称も「浦安国(うらやすのくに)、細戈千足国(くわしほこちたるのくに)」の称と並べられていて、むしろ賛称とみるのがふさわしい。上記の例と記紀雄略(ゆうりゃく)天皇条の蜻蛉(あきづ)(トンボ)にかけた起源伝承を除けば、他のすべてが大和の語とともに使用されているのも賛称であるためであろう。その語義については、水辺の農耕平地であるアクツと関連させる説、秋=実りと解する説などがあるが未詳。国号としての単独使用は平安時代以後と考えられる。なお、耶馬(やま)=野馬(やま)(カゲロウ)→蜻蛉(かげろう)→蜻蛉と転義されたものとして、起源を耶馬台国の称に求める説もある。

吉井 巖]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「秋津島」の解説

秋津島
(通称)
あきつしま

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
関取二代勝負附 など
初演
天明1.6(江戸中村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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