申状(読み)もうしじょう

精選版 日本国語大辞典 「申状」の意味・読み・例文・類語

もうし‐じょう まうしジャウ【申状】

〘名〙
※東南院文書‐天平神護三年(769)二月一一日・民部省符案「今鎮三綱等、具注申状、牒上如前」
中世訴訟における原告訴状。本解状。目安。
吾妻鏡‐治承五年(1181)四月二〇日「去年東国御家人安堵本領之時、同賜御下文訖、而為平太弘貞領所之旨、捧申状之間、糺明之処無相違、仍所被付弘貞也」
③ 言ったことば。言い分。主張。
源平盛衰記(14C前)二〇「傍若無人の景親が申状(ジャウ)、頗る尾籠也」
④ 申し開きをする手紙。または、文書。〔日葡辞書(1603‐04)〕

しん‐じょう ‥ジャウ【申状】

〘名〙 下位の者から上位の者に上申する文書。もうしじょう。もうしぶみ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「申状」の意味・わかりやすい解説

申状
もうしじょう

解文(げぶみ)、申文(もうしぶみ)、言上(ごんじょう)状ともいわれる。古文書形式の一つで、下位の者から上位に差し出す上申書のこと。古代令(りょう)制の上申文書の「解(げ)」の書き出し部分に「解申(げしもうす)」という句がついていることからこの名称がついた。このときの内容は、個人が官庁あるいは上位者に違法・窮状を訴え、改善を嘆願するものが多かった。平安時代以降には、官人が希望する官位・傍例・自己の経歴をあげ、その官位に就任するための自薦文書が現れる。鎌倉時代以降には、訴訟のための原告の訴状をさした。一方、平安時代中期以降、在地の有力農民らが国司荘園(しょうえん)領主・在地領主を糾弾するものも現れ、鎌倉時代後期以降には「百姓申状」が出されるようになった。

[川島茂裕]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「申状」の解説

申状
もうしじょう

上申文書の一種で,上位の者に差し出す文書。言上状(ごんじょうじょう)もほぼ同じ形式。ともに鎌倉時代以降多く使われるようになる。「某申す(言上す)○○の事」で始まり,「仍(よって)申状(言上)件(くだん)の如し」で終わるのがふつう。朝廷幕府・領主などに訴えをおこすための申状を,とくに訴状とよび,被告反論をのべるための申状を陳状(ちんじょう)とよんだ。

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普及版 字通 「申状」の読み・字形・画数・意味

【申状】しんじよう

上申書。

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世界大百科事典(旧版)内の申状の言及

【申文】より

…古文書様式の一つ。上申文書で,下位のものが上位に対して事柄を〈申上る〉文書ということからこの名があり,申状ということもある。公式様(くしきよう)上申文書である(げ)が冒頭に〈何某解申……事〉とあるのが,しだいに〈何某申……事〉と変化し,名称も解(解文)から申文に変わったといわれる。…

※「申状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」