デジタル大辞泉
「玄武」の意味・読み・例文・類語
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げん‐ぶ【玄武】
〘名〙
① 北方の神。中国、漢代のころ
四方に配した、
東方の青龍・
西方の
白虎・
南方の
朱雀(しゅじゃく)とともに
四神の一つ。亀と蛇を一つにした形とも亀の形ともいわれる。げんむ。
※本朝文粋(1060頃)一三・祭亀山神文〈
兼明親王〉「夫亀有玄武之霊。司水之神也」
② 北方にあるものの名称。特に家相で、家の北方の岡のあるところ。岡のない時は、
ヒノキなどを植えて
代用とする。げんむ。〔南史‐宋本紀中・文帝〕
※続日本紀‐大宝元年(701)正月乙亥「右月像玄武白虎幡」 〔
礼記‐曲礼上〕
④ 古代中国の天文学で、二十八宿中の北方七宿の
総称。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
玄武
げんぶ
中国古代の想像上の動物。古代の中国では、東西南北の四方を青竜(せいりゅう)、白虎(びゃっこ)、朱雀(すざく)、玄武の四神がそれぞれ守護していると考え、玄武は北方に充当されていた。五行思想は北方を水と関係づけたため、玄武はまた水神ともみなされ、その姿はヘビとカメの合体像という奇怪なものである。四神は災いを避け、天地の運行を順調にさせるとして、鏡の銘文にも盛んに鋳込まれたが、この信仰は朝鮮や日本にも伝播(でんぱ)し、わが国では奈良の薬師寺金堂の本尊台座や、飛鳥(あすか)の高松塚古墳の石槨(せっかく)内壁などにこの四神像がみられる。
[桐本東太]
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普及版 字通
「玄武」の読み・字形・画数・意味
【玄武】げんぶ
北方の神。亀蛇合体の形をとる。〔礼記、曲礼上〕行くに朱鳥をにし、玄武を後にす。字通「玄」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
げんぶ【玄武】
福島の米焼酎。酒名は、酒蔵が会津鶴ヶ城北門を守っていた家老宅に位置していたので、北の守護神「玄武」にちなみ命名。原料は米、米麹。アルコール度数25%。蔵元の「宮泉銘醸」は昭和29年(1954)創業。清酒「宮泉」の醸造元。所在地は会津若松市東栄町。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報
玄武
水行に属し、時では冬、方角では北に対応。暗闇を司る神で、こっそり・盗難・多淫などをあらわす。
出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の玄武の言及
【カメ(亀)】より
…近世になり亀の価値が,このようにほとんど逆転することについてはいくつかの説明があるが,その基礎にあるのは次のような観念の変質であろう。すなわち四霊の後をうける四神のうち,北方に位置する玄武が亀と蛇とがからみ合った形で描かれていて,その背後には冬の季節に世界の復活をもたらす宇宙的な聖婚が行われるという観念が存在したことをうかがわせるが,その聖婚の性的な意味が俗化して淫奔と受けとられるようになった。これが亀に対する価値観の転換をもたらしたと考えられるのである。…
【黒】より
…玄の字は黒い糸を束ねた形で,かすかで見にくいところから天の色とされ,また北方の色とされた。四神の一つ玄武は北方の神で亀または亀と蛇の組合せで表される。玄武は黒帝ともいう。…
【四神】より
…中国の古代に発祥する四つの方位を表す象徴的動物。東を青竜(蒼竜とも),南を朱雀(しゆじやく)(〈すざく〉ともいう),西を白虎,北を玄武で表す。戦国時代前期の,曾侯乙墓出土の漆器の蓋に,北斗や[二十八宿]とともに竜と虎とが描かれて,四神の観念の基礎となるものが天空上の星座と結びついて,すでに生まれていたことを示す。…
※「玄武」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」