物言い(読み)モノイイ

デジタル大辞泉 「物言い」の意味・読み・例文・類語

もの‐いい〔‐いひ〕【物言い】

物を言うこと。また、物の言い方。言葉遣い。「ていねいな物言いをする」「物言いに気をつける」
言い合い。口論
「追出されて来ましたというから、―でもしてきた事と思ったのだ」〈左千夫・春の潮〉
異議を口に出すこと。特に相撲で、行司の勝負判定に、審判委員や控え力士が異議を申し入れること。「物言いがつく」
うわさ。とりざた。
「人の―さがなさよ」〈帚木
話がうまいこと。また、その人。
くまなき―も、定めかねて」〈・帚木〉
[類語](1弁舌言い回し言葉遣い言葉付き言葉尻言いぐさ言い様言い方話し方話し振り話術話法/(3文句苦情クレーム不平コンプレイント小言苦言言いがかりいちゃもん嫌み皮肉当て付け毒舌当て擦り揚げ足取り風刺難癖咎め咎め立て

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「物言い」の意味・わかりやすい解説

物言い
ものいい

相撲で行司の裁きに納得がいかないとき,審判委員から異議を申し入れること。審判委員が土俵に上がって協議し,団扇 (うちわ) どおり,差し違い,取り直しを決定する。現在では,このような場合,幕内取組にかぎり,テレビ画面を VTRで再生,スローまたはストップで見ている控え審判と連絡して,それを参考にしている。また,幕内,十両は審判長が,幕下以下は正面審判が物言いの説明をしている。なお,控え力士は物言いをつけることはできるが協議には加われず,したがって決定権を持たない。

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知恵蔵 「物言い」の解説

物言い

行司の勝負判定に異議や疑問がある場合、土俵下にいる5人の審判委員(親方)は物言いを付けることができる。行司の軍配通りか、差し違えか、同体で取り直しかを土俵上で協議する。この際、行司は意見はいうことができるが、評決には参加できない。館内別室に控えるビデオ係の審判委員から、スローモーション画像でどう見えるかを参考意見として聞いている。物言いは土俵下の控えに座っている力士も付けることができるが、協議には参加できない。行司はどんな場合も東西いずれかの力士に軍配を上げなければならず、差し違えの場合は黒星といって立行司の場合は理事長に進退伺いを立てることになっており、三役格以下の行司は年に一度の行司番付の編成に際し査定の材料となる。

(根岸敦生 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の物言いの言及

【挨拶】より

コミュニケーション作法【野村 雅一】
[日本]
 挨拶は〈一挨一拶〉というように,中世の禅僧によって応答,問答するという意味で使用された語がしだいに一般化したものであり,それに相当する古くからの言葉ははっきりしないが,〈いや(礼)〉はそれに近い語であろう。各地の日常語ではジンギ(仁義)が挨拶の同義語として使用されてきたし,また単にモノイイ(物言い)ともいった。日本人の挨拶行為は,他人と身体を接触させることなく,一定の距離をおいて向かいあい,互いに上体を曲げ,頭を下げることを基本にしており,その曲げ方や下げ方は相手や場面によって異なる。…

※「物言い」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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