精選版 日本国語大辞典 「幕内」の意味・読み・例文・類語
まく‐の‐うち【幕内】
〘名〙
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)一「幕の内にて、『こんど長崎寄合町』の哥に成り」
③ 芝居で、幕のしまっている間。幕間(まくあい)。
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)二「幕の内より、おやな・おかや膳立をして居る。幕開く」
※黄表紙・怪談筆始(1796)「幕の内でも取りにつかはしませうか」
※洒落本・太平楽記文(1784)「おいらもちっともむと、ずいぶんまくの内ぐらいにはなられると」
※わらんべ草(1660)一「はしがかりのまくは〈略〉、近年は、どんす、きんらん、色々けっこうなるまくにて、まくの内の習も、ならぬ事あり」
⑧ 役者と情交関係を結んでいる芸娼妓。
※洒落本・箱まくら(1822)上「幕内(マクノウチ) やくしゃとなじむ子をいふ」
⑨ 自分の領域。また、自分たちの仲間。
※洒落本・金枕遊女相談(1772‐81頃)「まくのうち大じにちょちょらを用てよし」
※洒落本・廓節要(1799)「こっちの幕(マク)の内を見られねへやうになさりまし」
まく‐うち【幕内】
〘名〙
① 芝居で、舞台の幕より内側。転じて、役者。俳優。幕の内。
※洒落本・箱まくら(1822)上「こちの店の子がまくうちとわけがあって」
※浮世草子・当世芝居気質(1777)二「旦那様に幕内の事しられては、しゅっときえぎえ」
③ (楽屋は観客席からは見えない所の意から) 内証。うちわ。ないない。秘密。
※洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)四「段々増に油引多葉粉のんで、まく中(ウチ)の相談、文句のしぐみ」
④ =まくのうち(幕内)⑤〔相撲講話(1919)〕
⑤ 幕内力士。また、その地位。
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