片(漢字)

普及版 字通 「片(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] ヘン
[字訓] かた・きれ・ひら

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 象形
城壁などを築くときの、版築に用いるあて木の形。片を両辺に立て、中に土を盛り、これを擣(つ)き堅めて土壁とする。その方法を版築という。〔説文〕七上に「木なり。木に從ふ」とあり、自然木の枝のついたままのものを両半したものと解するが、片の旁出するものはあて木として立てるためのもので、これを平面におけば牀となる。片方の意よりして、ものの一偏をいい、少・一部分の意となる。片雲・雪片・花片のように形あるもののほか、片言・片志のように形のないものにもいう。

[訓義]
1. 版築の一方の木、かたかた、かた、一方。
2. きれ、木のきれ、衣のきれ、土くれ、かけら、きれはし、はんぱ。
3. ひら、軽く小さなもの、はなびら。
4. かたよる、さく、わける。

[古辞書の訓]
名義抄〕片 カタハシ・ハシ・カタハラ・カタツカタ・カタオモテ 〔字鏡集〕片 カタオモテ・シリソク・カタハラ・ハシアハス・カタハシ・サク・カタカタ・カタ・ヲフ・カタヘ・ハシ・サス

[部首]
〔説文〕に版・牘・牒・など七字を属し、〔玉〕に・牋・などを加えて三十八字を属する。簡牘には薄片のものを用いた。(ぎよう)は業に従い、業は上に鑿歯(さくし)のある長い木で、これを両手で持ち、うち堅める。その撲つことを(ほく)という。のような字形があることは、片が版築に用いるものであることを証するものといえよう。

[語系]
片phianは(判)phuanと声近く、ともに判かつ意があり、(半)puan、(分)piun、また辨(弁)bian、別biatと同系の語である。その一方を(偏)phyenという。

[熟語]
片雨・片雲・片影片簡・片片許・片金・片頃・片芸・片月・片言・片語片刻・片紙片時片辞片霎・片席片善・片段片楮・片土・片帆・片片
[下接語]
阿片・片・一片・花片・玉片・結片・香片・砕片・残片・紙片・数片・雪片・霜片・断片・楮片・破片・薄片・飛片・氷片・名片・木片・裂片

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報