片片(読み)へんぺん

精選版 日本国語大辞典 「片片」の意味・読み・例文・類語

へん‐ぺん【片片】

〘形動ナリ・タリ〙
① きれぎれなさま。きれぎれのものが軽くひるがえるさま。ひらひらと漂うさま。
経国集(827)一一・閑庭早梅〈嵯峨天皇〉「繊々枯幹知初暖、片片寒葩委旧苔
海道記(1223頃)豊河より橋本塩屋には薄き煙、靡然となびきて、中天の雲片片たり」 〔庾信‐昭君辞応詔〕
② おもみのないさま。うすっぺらなさま。取るに足りないさま。
正法眼蔵(1231‐53)一顆明珠「究弁するに、たれか片々なりと見徹するあらん」

かたし‐がたし【片片】

〘名〙 履物など対(つい)になっている物の片方が違っていてそろわないこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※続々鳩翁道話(1838)二「足もとを見れば、かたしかたしの雪駄をはいてゐる」

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デジタル大辞泉 「片片」の意味・読み・例文・類語

へん‐ぺん【片片】

[ト・タル][文][形動タリ]
きれぎれになっているさま。また、その一片が軽くひるがえるさま。
一葉小舟―として、忽ち去り」〈独歩愛弟通信
取るに足りないさま。
新聞号外の投げ与える―たる事実を題にして」〈鴎外灰燼
[補説]書名別項。→片々
[類語](1びらびらぴらぴらひらりひらりはたはたゆらゆらゆさゆさちらりほらりほろりはらりぱらぱらふわふわひらひらひらりぽっかりぷかりぷかりぷかぷかどんぶりこどんぶらこ浮き沈み浮遊たゆたう浮かぶ漂う浮く浮揚舞うふわりふわっとふんわり

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普及版 字通 「片片」の読み・字形・画数・意味

【片片】へんぺん

ひらひらする。唐・盧照鄰〔長安古意〕詩 片片たる行雲(髪のさま)、鬢(せんびん)に(つ)き 纖纖(せんせん)たる初(眉の形)、(あくわう)(額の化粧の色)に上(のぼ)る

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