江戸雀(読み)えどすずめ

精選版 日本国語大辞典 「江戸雀」の意味・読み・例文・類語

えど‐すずめ【江戸雀】

〘名〙 (「すずめ」は、事情に通じそれをしゃべりあるく者をいう) 江戸市中の様子出来事をなんでもよく知っていて、それを話題として話し歩く人。
※江戸雀(1677)序「治まれる時とや知りて江戸すずめさへづる声も万歳万歳」

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デジタル大辞泉 「江戸雀」の意味・読み・例文・類語

えど‐すずめ【江戸×雀】

江戸市中の事情に通じていて、それをしゃべって回る者。

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日本歴史地名大系 「江戸雀」の解説

江戸雀
えどすずめ

一二巻一二冊 近行遠通撰・菱川師宣画 延宝五年刊

版本 国立国会図書館・国立公文書館内閣文庫ほか

写本 東京大学(一二巻二冊)・都立日比谷図書館ほか

解説京雀」「難波雀」とともに世に三雀といわれる。これ以前の江戸の案内書はいずれも京都での出版であったが、初めて江戸の書肆から出版された。ことに武家屋敷はいちいち名前をあげ、その間の道のりを記し、寺社名所現状由来を記している。実地に役立つ道案内の書。挿絵は三四枚で、いずれも当時の風俗を知ることができ貴重。

活字本 江戸叢書五・六、近世文芸叢書一、日本随筆大成二期五(新版二期一〇)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江戸雀」の意味・わかりやすい解説

江戸雀
えどすずめ

江戸の絵入り名所案内記。江戸での開板地誌としては最古。著者は不詳。画(え)は菱川(ひしかわ)吉兵衛(師宣(もろのぶ))。1677年(延宝5)大伝馬町鶴屋(つるや)喜右衛門刊。12巻12冊。地方から江戸へ出てきた人のための実用的な案内書で、江戸をいくつかの方角に分け、詳細に道順を記す。名所旧跡では、その由来と現状が述べてある。巻末に、大名屋敷、町、橋、寺社総数や里程もある。挿画は、元禄(げんろく)(1688~1704)以前の江戸の風俗史料としても貴重である。『江戸叢書(そうしょ)』『日本随筆大成』『近世文芸叢書』所収。

[水江漣子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江戸雀」の意味・わかりやすい解説

江戸雀
えどすずめ

江戸の地誌。 12冊。近行遠通撰。延宝5 (1677) 年江戸で刊行。江戸見物の案内書で,その挿絵は浮世絵師菱川師宣の手になり,当時の風俗を知るうえで貴重な史料。また江戸で刊行された最も古い地誌の一つとしても重要。

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