名所(読み)めいしょ

精選版 日本国語大辞典 「名所」の意味・読み・例文・類語

めい‐しょ【名所】

〘名〙
景色がいいことで有名な所。景勝の地。また、歴史的な事件があったり、古歌などに詠まれたりして、昔から広く知られている土地名勝名跡
田氏家集(892頃)下・禁中瞿麦花詩三十韻「蓋此花、生大山川谷、不好家名処
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石松本の話「箕面(みのお)といふ紅葉の名所(メイショ)
② 一般に、景色がよい所。
筑紫道記(1480)「遠近の嶋々所々の山々など、手にとるばかりにて、いづれも名所ならずといふ事なし」
③ 遊里で名代の太夫。京都・島原の遊里などで、各地の名所の名を自分の名にしていたところから生じたという。
浮世草子好色一代男(1682)八「紋日の事なれば名所(メイショ)一人もなし」

な‐どころ【名所】

〘名〙
① 名前と場所姓名住所
※小右記‐天元五年(982)三月一一日「下官即改注名所於殿上簡」
② 物の各部分名称。「甲冑の名所」「馬の名所」
※虎明本狂言・政頼(室町末‐近世初)「ひうち羽かざきり、ほろ羽に至るまでたかのな所、一もつのきっさうなり」
③ 名ある所。その名が多くの人に知られている場所。有名なところ。めいしょ。
※光悦本謡曲・田村(1428頃)「それ花の名ところおほしといへ共」
④ 土地の名称。字(あざな)。小名(こな)
※禁令考‐後集・第二・巻一四(1743)「質地名所并位反別無之」

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デジタル大辞泉 「名所」の意味・読み・例文・類語

めい‐しょ【名所】

景色のよさや史跡、特有の風物などで有名な場所。「名所旧跡
[類語]歌枕名跡旧跡古跡史跡

な‐どころ【名所】

姓名と住所。
景色・旧跡などで有名な場所。めいしょ。「桜の名所
器物などの部分の名称。「よろい名所」「馬の名所

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世界大百科事典(旧版)内の名所の言及

【名所絵】より

…歌枕など諸国の名所を選び,連作として屛風絵や障子絵に描いたものを名所絵と呼ぶ。月次絵(つきなみえ)や四季絵とともに,日本の風景・風俗を描いたやまと絵の主要なジャンルをなした。…

※「名所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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