桃華蘂葉(読み)トウカズイヨウ

デジタル大辞泉 「桃華蘂葉」の意味・読み・例文・類語

とうかずいよう〔タウクワズイエフ〕【桃華蘂葉】

室町後期の有職故実書。1巻。一条兼良著。文明12年(1480)成立一条家故実や領所・敷地目録などを、家督を継いだ子の冬良に書き与えたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「桃華蘂葉」の意味・わかりやすい解説

桃華蘂葉 (とうかずいよう)

1480年(文明12)4月に一条兼良が子の冬良に与えた遺戒の書。1巻。装束,車等の故実をはじめとして,書札礼や家に相伝してきた文書記録,家管領の寺院や家領のことなど,一条家の当主として熟知しておくべき事項が記されている。応仁の乱後の一条家の所領と知行の実態を知ることができるなど,興味ある記事も多い。《群書類従》所収。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桃華蘂葉」の意味・わかりやすい解説

桃華蘂葉
とうかずいよう

一条兼良(かねら)が1480年(文明12)に、家督を継いだ冬良(ふゆら)に後事を託する意図で書き与えた著。1巻。内容は、一条家流の装束着用の法式、相伝の十二合(ごう)文書ならびに日記、一条家の子弟の入室すべき門跡(もんぜき)およびその管領下にある寺院、一条家の領所と敷地の目録など多方面にわたっている。なかでも領所と敷地の目録は、武家による荘園(しょうえん)の侵略押領(おうりょう)の実情を知るうえの貴重な一史料である。『群書類従』(雑部)所収。

芳賀幸四郎

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「桃華蘂葉」の解説

桃華蘂葉
とうかずいよう

有職(ゆうそく)故実書。一条兼良(かねよし)著。1480年(文明12)4月成立。死去前年,一条家当主の心得を子冬良に書き与えたもの。束帯色目・直衣(のうし)事に始まる一条家伝来の作法を,歴代の記録類を用いて詳説。書状の書式や家伝の文書目録,一条家管領の寺院・家領などの由緒や現状が書かれている。国史・法律や神礼拝の法まで説かれ,当時の高級貴族の生活がわかる。「群書類従」所収。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桃華蘂葉」の意味・わかりやすい解説

桃華蘂葉
とうかずいよう

一条兼良が子の冬良のために著わした覚え書。1巻。文明 12 (1480) 年成立。内容は,装束,書札礼などに関する一条家に伝えられる故実,および相伝の文書,記録,所領などにわたる。所領の部分は,応仁の乱の公家の経済に及ぼした影響を知る好史料。

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旺文社日本史事典 三訂版 「桃華蘂葉」の解説

桃華蘂葉
とうかずいよう

室町後期,一条兼良 (かねよし) の有職 (ゆうそく) 書
1480年成立。1巻。衣服・道具などの項目の下に歴代の日記を引き一条流の故実を詳細に記し,書札礼や国史・法制・儀礼などの古典に関する説明を施す。子の冬良の心得のために書かれたもの。

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