根小屋
ねごや
根古屋とも書く。日本の中世に発達した豪族屋敷村に起源をもつ集落。中世の名主や地頭などの居館は主として丘陵や台地の先端などにあり,そのふもとにあたるところに,これを囲んで家臣団その他の従属する人々の集落が形成された。この集落を根小屋といった。室町時代から戦国時代にかけて各地に発達したが,特に関東地方の山麓地帯に多い。呼称は地方によって異なるが,根小屋,堀ノ内,堀籠 (ほりごめ) ,箕輪 (みのわ) ,寄居などの地名の存するところは,このような集落が存在したことを示す。中国,四国地方で土居 (どい) とか山下 (さんげ) ,九州地方で麓 (ふもと) や府本とか拵 (かこい) と呼んだ集落も同類型のものである。
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根小屋【ねごや】
根古屋とも記す。日本中世の集落形態の一つ。豪族の館を中心として山や丘陵の麓に発達した集落。戦時は山城に詰めるため,根小屋集落は平時の住居であった。呼称は地域によって異なり,薩摩では麓,肥後では拵(かこい),中国・四国では土居(どい),山下(さんげ),関東では堀の内,堀籠(ほりごめ),根小屋,箕輪(みのわ),寄居(よりい)などと呼んだ。
→関連項目城下町
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ね‐ごや【根小屋】
〘名〙 (「ねこや」とも)
① 戦国時代、山城のふもと周辺に置かれた城兵の集落。主として関東での称。
※甲陽軍鑑(17C初)品
二三「其次日は、頼茂居館の小城へをしよせ、ねこやまで焼候へ共」
② 江戸時代、樹木の根を買い、これを看板あるいは
床の間に用いる板などに挽
(ひ)いて売ったもの。〔
随筆・守貞漫稿(1837‐53)〕
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デジタル大辞泉
「根小屋」の意味・読み・例文・類語
ね‐ごや【根小屋】
《「ねこや」とも》館や城のある山のふもとの集落。
「居館の小城へ押し寄せ、―まで焼き候へども」〈甲陽軍鑑・二三〉
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ねごや【根小屋】
中世後期山城(やまじろ)の麓にあった城主の館やその周辺の屋敷地。おもに東国で用いられた語で,後に集落の地名となって根古屋,猫屋などと書かれることもある。城主が平時は麓に居住し,戦時に山城に詰めるという形は中世後期に全国的に共通していたので,根小屋の用語の使われなかった地方も含め,このようなタイプの城郭を根小屋式と形容することがある。【村田 修三】 半農半士的な性格を有する地方豪族により造営された居館集落の場合は,丘陵や台地の上に城館を築造し,家人や名子,下人などの隷属百姓をその麓付近や崖端に集住させて集落を形成した。
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世界大百科事典内の根小屋の言及
【城下町】より
…戦国期に成立をみ,近世社会の解体とともに消滅するが,近現代都市の主要な都市の多くが城下町をその系譜にもつ。城
[戦国期]
南北朝期前後に在地領主の争乱から山城の城郭がつくられ,そのふもとに根小屋,山下という領主居館と家子,郎党の屋敷集落が設けられたが,それは商職人の町をもたなかった。室町期には守護の大名化にともない守護所を中心に守護町を生むものがあったが,それは城郭をもたない屋形町であった。…
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