新嘗(読み)にいなめ

精選版 日本国語大辞典 「新嘗」の意味・読み・例文・類語

にい‐なめ にひ‥【新嘗】

〘名〙 内裏で、大嘗祭を行なう年を除いて、毎年陰暦一一月の卯の日に行なわれる儀。その年の新穀を諸に供え、天皇自身も食する。にいなえ。にいあえ。にわなえ。にわない。にわのあい。
※続日本紀‐神護景雲三年(769)一一月二八日・宣命「今勅はく、今日は新嘗のなほらひの豊の明聞しめす日に在」

しん‐じょう ‥ジャウ【新嘗】

〘名〙 (「しんしょう」とも) 、その年に新たにとれた穀物を供えて神をまつり、天皇みずからもそれを食すること。にいなめ。
続史愚抄‐後桜町天皇・宝暦一二年(1762)一一月九日「此日於神祇官代新甞御祈

にわ‐ない にはなひ【新嘗】

〘名〙 (「にわのあい」の変化した語) =にいなめ(新嘗)
書紀(720)用明二年四月(図書寮本訓)「磐余河上(かみ)に御新嘗(ニハナヒ)す」

にわ‐の‐あい にはのあひ【新嘗】

※書紀(720)仁徳四〇年是歳(前田本訓)「是歳、新嘗(ニハノアヒ)(〈別訓〉にはなひ)の月に当(あた)りて」

にい‐なえ にひなへ【新嘗】

※延喜式(927)一(一条家本訓)「凡践祚大嘗祭為大祀。祈年。月次。神嘗(かむなへ)。新嘗(ニヒナヘ)

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百科事典マイペディア 「新嘗」の意味・わかりやすい解説

新嘗【にいなめ】

新穀を神に供する祭事。斎戒してこれを行う。記紀にも〈にいなめ〉の語がみえており,当時の最も神聖な行事の一つであった。現在は宮中と出雲大社新嘗祭が伝承されている。→大嘗祭
→関連項目

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デジタル大辞泉 「新嘗」の意味・読み・例文・類語

しん‐じょう〔‐ジヤウ〕【新×嘗】

《「しんしょう」とも》秋に新しくとれた穀物を神に供えて天皇みずからもそれを食べること。にいなめ。

にわ‐ない〔にはなひ〕【×嘗】

にいなめ(新嘗)」に同じ。
天照大神の―きこしめす時を見て」〈神代紀・上〉

にい‐なえ〔にひなへ〕【新×嘗】

しんじょう(新嘗)」に同じ。
新粟わせの―して」〈常陸風土記

にい‐なめ〔にひ‐〕【新×嘗】

《「にいなえ」の音変化》「しんじょう(新嘗)」に同じ。

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普及版 字通 「新嘗」の読み・字形・画数・意味

【新嘗】しんじよう(じやう)

新穀を以て祀る。〔礼記月令〕(孟秋の月)農乃ち(すす)む。天子、新を嘗(な)む。

字通「新」の項目を見る

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