宣(漢字)

普及版 字通 「宣(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] セン
[字訓] のべる・あきらか

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+亘(せん)。宀は屋。亘は半円形にめぐるものをいうことが多い。〔周礼、考工記、車人〕に「、之れを宣と謂ふ」とみえる。〔説文〕七下に「天子の宣室なり」とあり、〔史記、賈誼伝〕に「孝、方(まさ)に釐(き)(祭祀の余肉)を受けて宣室に坐す」とあり、未央殿の前正室の名で、儀礼を行うところであったらしい。〔淮南子、本経訓〕に、紂が宣室で殺されたことがみえ、金文の〔季子白盤(かくきしはくばん)〕に、氏が(けんいん)を伐ち、献馘(けんかく)の礼を行い、「王、に各(いた)り、宣に爰(ここ)に)す」とあり、ここに馘醜(かくしゆう)(敵将の首)を献じた。また射儀なども、この宣で行われている。宣室の名は、室を半の形にとるその室の構造に由来するものであろう。

[訓義]
1. 室の名、宣室。
2. のべる、のたまう、みことのり、みことのりたまう。
3. あきらか、あかす、しめす。
4. とおる、とおす、つくす。
5. ゆるやか、ちらす、ひろめる。
6. 恂と通じ、まこと。

[古辞書の訓]
名義抄〕宣 ノブ・シク・アマネシ・ホドコス・アキラカナリ・オホセゴト・シメス・アラハス・スクナシ・ヒロシ・ウヤマフ・ノタマハク・ノタブ・ノベリ

[声系]
〔説文〕に亘声の字として宣、また宣声の字として愃を収めるが、喧・などの字は未収。亘声のものには垣(えん)・桓(かん)の両音の系統のものが多く、宣声の字は宣一字であるから、宣は会意とするのがよい。

[語系]
宣siuan、旋ziuanは声義近く、めぐる意がある。徇ziuen、(巡)ziunもその系統の語であろう。ゆえに宣に宣撫宣明などの意がある。

[熟語]
宣威宣慰・宣引・宣飲・宣鬱・宣遠・宣下・宣化・宣究・宣教・宣言・宣弘宣洽・宣講・宣告・宣差・宣旨・宣紙・宣賜・宣示・宣室・宣宣赦宣述宣召・宣招宣昭・宣称・宣章・宣情・宣省・宣聖宣誓・宣説宣戦・宣著・宣暢・宣通・宣哲・宣展・宣伝・宣頭・宣導・宣読宣播・宣髪・宣撫・宣布・宣付・宣募・宣報・宣明・宣命宣耀・宣揚・宣流・宣力・宣露・宣労
[下接語]
院宣・究宣・口宣・孔宣・広宣述宣・承宣・詔宣・尽宣・正宣・託宣・勅宣・伝宣・髪宣・不宣・布宣・敷宣・賦宣・文宣・明宣・流宣・労宣

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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