墨染(読み)すみぞめ

精選版 日本国語大辞典 「墨染」の意味・読み・例文・類語

すみ‐ぞめ【墨染】

[1] 〘名〙
墨汁で染めること。また、そのような黒い色。また、ねずみ色。僧衣または喪服の色。にびいろ。すみ。
古今(905‐914)哀傷・八四三「すみぞめのきみがたもとは雲なれやたえず涙の雨とのみふる〈壬生忠岑〉」
源氏(1001‐14頃)野分「かたちよき尼君たちの、すみぞめにやつれたるぞ」
③ (②から転じて) 僧侶のこと。〔文明本節用集(室町中)〕
[2] 京都市伏見深草地名。江戸時代は遊郭で知られた。

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デジタル大辞泉 「墨染」の意味・読み・例文・類語

すみ‐ぞめ【墨染(め)】

墨で染めること。また、そのような黒い色または、ねずみ色。
墨染め衣」の略。
僧。
「その身を―になして」〈浮・諸国ばなし・二〉
[類語]真っ黒いか黒い黒い黒黒黒ずむどす黒い浅黒い色黒真っ黒け真っ黒黒っぽい漆黒黒み黒色こくしょく墨色赤黒い青黒い黒む純黒直黒ひたぐろ鉄色煤色すすいろ烏羽からすばからすの濡れ羽色がんぐろ薄黒い黒変黒ばむ真っ暗暗闇真っ暗闇暗黒ブラックダーク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「墨染」の意味・わかりやすい解説

墨染
すみぞめ

京都市伏見(ふしみ)区の深草(ふかくさ)墨染町の地。上野岑雄(かんつけのみねお)が太政(だいじょう)大臣藤原基経(もとつね)の死を悼んで詠んだ「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染に咲け」(『古今集』巻16)で知られ、地名のおこりになった墨染桜墨染寺境内にある。京都と伏見を往来する商人や、伏見から山科(やましな)を経て東海道を往還する旅人などでにぎわい、江戸中期には墨染寺の門前芝居小屋や遊里ができて栄えたが、明治以後衰退した。京阪電鉄京阪本線墨染駅がある。

織田武雄

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「墨染」の解説

墨染 すみぞめ

?-? 江戸時代後期の陶工
天保(てんぽう)(1830-44)のころ,京都伏見で火桶(ひおけ)や土風炉(どぶろ)などをつくった。本名不詳。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「墨染」の解説

墨染 (スミゾメ)

学名:Aeonium simsii Hybrid
植物。ベンケイソウ科の園芸植物

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