(読み)く

精選版 日本国語大辞典 「区」の意味・読み・例文・類語

く【区】

[1] 〘名〙
① いくつかに分けた区画の単位。地域の区分。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
自治区。特別地方公共団体として法人格が与えられ、一定の限度で自治権が認められているもの。東京都の二三区がそれにあたる。特別区
※地方自治法(1947)二八一条「都の区は、これを特別区という」
行政区。政令で指定する人口五〇万以上の市におかれる行政上の区画単位。
※地方自治法(1947)二五二条の二〇「条例で、その区域を分けて区を設け」
財産区市町村・特別区の一部で財産を有し、公の施設を設けているもの。法人格を有し、その財産や公の施設の管理・処分の権能のみをもつ。
⑤ 行政上の必要により定められた特定の区画単位。選挙区学区など。
⑥ 明治四年(一八七一)、戸籍事務処理のために設けられた行政上の区画。
⑦ 地理上の区画単位。気候区など。
⑧ かつての北海道区制・沖縄県区制による区画。市に相当する地方自治体であった。
[2] 〘接尾〙
① 区画、区域などをさしていうのに用いる。「東京第一区の投票率」
② 区間を数えるのに用いる。
※真理の春(1930)〈細田民樹〉縛られる「次まで乗るとバスは三区(ク)になった」
③ 建物を数えるのに用いる。
※皇太神宮儀式帳(804)「正殿壱区 長三丈六尺、広一丈八尺、高一丈一尺」

まち【区】

〘名〙
刀剣類の刃の部分と中子(なかご)の部分との境目。刃方を刃区、棟方を棟区という。〔新刃銘尽(1721)(古事類苑・兵事二八)〕
② 矢箆(やの)の先端で鏃(やじり)を挿しこむつけ根。刀剣類の区に対して箆区(のまち)ともいう。
※幸若・高たち(室町末‐近世初)「てる井殿に矢ひとすちたてまつらん〈略〉まちをこふしにひっかけ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「区」の意味・わかりやすい解説


地方自治法上設けられた行政の区画単位をさす。区には、特別地方公共団体として法人格が与えられ、一定の限度で自治権の認められる自治区と、単なる行政区画にすぎない行政区の2種類がある。地方自治法上の自治区には、1974年(昭和49)の法改正によりその自治権が拡大されたとはいえ、市町村よりその権能が小さい東京都の特別区、および市町村の一部で財産または公の施設の主体として管理・処分または廃止の権能を認められた財産区がある。これらの自治区に対して、法人格をもたず地域的事務配分を行うためのものが政令指定都市の行政区である。

[市橋克哉]

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デジタル大辞泉 「区」の意味・読み・例文・類語

く【区】

小さく区切られた地域。区画。ブロック。「禁猟」「第一走者
地方自治法で定められた行政上の区画。
㋐一定の自治権をもつ法人である自治区。東京都の特別区と市町村などの財産区
行政事務処理の便宜のために設けられた行政区。政令指定都市の区。
法令執行のために設けられた区画。選挙区学区など。

く【区〔區〕】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]まち
学習漢字]3年
細かく仕切る。「区画区分区別
ある目的で区切った地域や範囲。「海区学区管区漁区教区地区
行政区画の一。「区長区民市区特別区
こまごましている。「区区
難読区区まちまち

まち【区】

刀剣の、刀身の部分となかごとの境目。刃の方を刃区はまち、峰の方を棟区むねまちという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「区」の意味・わかりやすい解説


まち

刀身の一部分名称。関とも書く。刀身は身 (み) と,柄 (つか) に入れる部分の茎 (なかご) から成り,身と茎の境目を区と呼ぶ。区には刃区 (刃側) と棟区 (背側) があり,刀身が抜けるのを防ぐための留め具のはばきを受けるためのえぐり込みにもなる。

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世界大百科事典 第2版 「区」の意味・わかりやすい解説

く【区】

都市は膨張する行政ニーズを市民の自治,参加に基づき能率よく処理しなければならないが,大都市になるほど市民の自治と能率を調和させることは難しい。この解決策の一つとして,大都市には市域の区画制度が設けられることが多い。こうした区画を通常,区というが,その形式は法人格をもつ自治区,行政区,たんなる行政区画など多様である。ニューヨーク市には,マンハッタン,ブロンクス,ブルックリン,クイーンズ,スタテン島の5区(borough)が設けられている。

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日本歴史地名大系 「区」の解説


なだく

面積:三二・二三平方キロ

昭和六年(一九三一)の区制実施により成立した。東は東灘区、北は北区、西は中央区、南は大阪湾に面する。六甲ろつこう山地南麓に位置し、石屋いしや川・都賀とが川・青谷あおたに川が南流して海に注ぐ。古代から兎原うはら郡に属し、中世には区域の大部分が都賀庄に含まれた。近世にはほとんどの村が尼崎藩領・幕府領であった。明治二二年(一八八九)の町村制施行により兎原郡都賀浜とがはま村・都賀野とがの村・六甲村が成立。同二八年都賀野村は西灘村と改称し、同二九年兎原郡は武庫むこ郡に合併された。

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百科事典マイペディア 「区」の意味・わかりやすい解説

区【く】

行政区財産区特別区

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世界大百科事典内のの言及

【村】より

…また日本の例をみても明らかなように,自然発生的な集落としての〈むら〉と,国家行政の末端単位として上から設定された〈むら〉とでは,規模はもちろん,そこに住む住民の意識にも,大きな違いがある。これに類したことは,ヨーロッパ諸国においても,〈むら〉と〈教区〉あるいは〈裁判区〉などとの関係として認められる。また同じように畑作農業と牧畜を兼ねるヨーロッパの農村にあっても,スラブ民族の地域には,しばしば多数の人口をもつ大規模な〈むら〉があり,〈村抱え〉の各種職人層の分化がみられるものの,その経済的なあり方が,外部の市場への窓口を閉ざした自給自足的な社会集団をなしているケースが多い。…

【村方文書】より

組頭クラスの旧家に保存されている例も多い。また区有文書(旧村の多くは現在大字あるいは区と呼ばれている)として年々の区長宅に持回りされたり,区の倉庫や寺社に保管されている例もある。旧名主・庄屋や組頭が質屋や酒造業を営んでいたような場合には営業許可関係の公文書とともに私的な営業帳簿が残っていることがある。…

【日本刀】より

…まず用語の解説という形で説明していこう(図1,図2参照)。
[形態と種類]
 (1)長さ(刀身の長さをいう) 切先(きつさき)の先端と棟区(むねまち)の間の直線距離のこと。(2)反り(そり) 長さを示す直線から刀の棟への垂直線の最長距離のこと。…

※「区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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