世界平和運動(読み)せかいへいわうんどう(英語表記)world peace movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世界平和運動」の意味・わかりやすい解説

世界平和運動
せかいへいわうんどう
world peace movement

地球上から戦争をなくそうとする民間運動。ドイツの哲学者 I.カント,フランスの作家 E.ゾラ,ロシアの文豪 L.トルストイなどは早くから平和主義者として知られ,日本でも内村鑑三幸徳秋水堺利彦などが反戦平和運動を行なっていた。しかし,こうした知識人思想や運動が一般大衆に影響を与えるようになったのは第1次世界大戦後のことであり,世界的な広がりをもつ運動に発展したのは第2次世界大戦後のことである。 1948年8月ポーランドのウロツワフで平和擁護のため世界知識人会議が開かれ,49年4月には国際民主婦人連盟と世界 18ヵ国 75人の著名文化人の提唱による第1回世界平和擁護者大会がパリとプラハで開かれて,平和運動の国際連絡機関として世界平和委員会がつくられた。さらに 50年 11月ワルシャワで開かれた第2回大会では,世界平和運動の常設機関として,208名から成る世界平和評議会を設立,世界平和委員会を吸収した。その後,原水爆禁止日本協議会の結成 (1955) ,ローザンヌにおける世界母親大会の開催 (55) など,世界平和評議会系の各種の運動が続いた。他方,55年7月に発表された「ラッセル=アインシュタイン声明」は核戦争による人類絶滅の危機を訴え,東西科学者や知識人によるパグウォッシュ会議を発足させることとなった (57以降) 。このほか世界政府運動も早くから戦争のない世界を目指して運動を続けている。

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